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消費者の関心は企業の想いへの共感に変わった 所有の喜びだけではもうモノは売れない

東洋経済オンライン / 2024年4月15日 19時0分

➂クリエイティブ制作の民主化

テクノロジーの進化は、クリエイティブ制作の民主化をもたらしました。具体的には、映像制作、画像の加工、音楽制作など、当時は各分野の専門家にしかできなかったことが、誰でも、簡単に編集し、世界に発信できるようになりました。

それを実現したのは、クリエイティブを共有できるSNSや、クリエイティブ制作を気軽に楽しめるソフトウェア、高性能のハードウェアの存在です。

1日の間に目にする映像や写真、音楽などのコンテンツ量が圧倒的に増えたことで、企業が発信したいことをお客様に届けることは、非常に難しくなりました。自分の判断で自由に使うことのできる時間には限りがあるため、この限られた時間を、様々なコンテンツが奪い合う時代が始まったのです。

コンテンツが溢れている状況において、広告は存在感を示すことが難しくなっています。

所有ではなく意味を重視する新しい価値観

➃価値観の変化

新しい世代の価値観も、目立ち始めています。ミレニアル世代やZ世代が、20、30代になり、少しずつ価値観がアップデートされていくのを感じるようになりました。

この世代は、生まれた時から、モノが豊富にある環境で育っているので、所有することにこだわりが少なく、所有よりも意味を重視すると言われています。また、膨大な情報やコミュニティを選ぶことができるようになったため、多様性を重視し、ジェンダーや社会問題に対しての興味・関心が高いとも言われています。

私自身もミレニアル世代に含まれますが、ここ数年で、値段が安くて便利なものではなく「トップにビジョンがある」「サステナビリティに配慮している」あるいは「造形として美しい」など、本当に意味があると思えるものを、できるだけ長く使いたいという発想に変わってきました。特に、少し奮発した買い物をする際は、「これでいい」と妥協せず、一生付き合えるかをよく考え、調べて買うようになりました。

これからの商品やサービスは、便利さや値段を追求するだけではなく、意味が求められているのです。

このように、私が広告会社に入社した2009年から2023年までのわずか15年ほどの間に、これまでの常識が覆されるような変化が次々と起こっています。

これからのブランドに必要なこと

広告業界を取り巻く環境が変化したことに伴い、アートディレクターとして、企業から求められることも変化しています。

私自身のキャリアに伴う変化もあるので、業界全体の傾向として一概には語れないものの、世の中の潮流は明らかに次に記す方向へ向かっていると感じています。

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