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消費者の関心は企業の想いへの共感に変わった 所有の喜びだけではもうモノは売れない

東洋経済オンライン / 2024年4月15日 19時0分

ですが、今は、ウェブサイトなどで、自分の好きな商品・サービスを、どこでも、いつでも買うことができるようになったため、代替可能な商品・サービスは、生き残ることが難しくなりつつあります。

「これでいい」ではなく「これがいい」と思ってもらうことが、これからのブランドに必要なことです。そのためには、自社ブランドの強みや魅力を発見し、デザインや言葉で目に見えるようにすることが必要です。他のブランドにはない、ブランドの独自性を可視化することが求められています。

➂専門型から共創型へ

クリエイティブ制作の民主化により、あらゆる人が画像や映像などの制作ができるようになったため、自社内で他の業務の合間にクリエイティブ制作を担うケースなども増えてきています。その結果、デザイナーという職種の技術力や専門性の差が広がっています。

ブランドから発信するコンテンツの量も増え、大きなブランドになると、何十人もデザイナーがいるケースもあります。このような状況においては、1人ひとりのデザイナーが個別に作家性を発揮し始めると、ブランド全体として見た時にブランドがバラバラになってしまいます。

ブランドの思想と世界観に一貫性をつくるためには、1つひとつの制作物の品質を高めるだけではなく、ブランド全体を管理するシステムを構築し、関わるデザイナーが全員でブランドを共創できる状態をつくることが必要です。

ブランドに関わるすべてのデザイナーが連携し、ブランドを共創する時代になってきているのです。

贅沢を意味しなくなった「ブランド」

➃表層から根幹へ

「所有より意味を求める」という価値観の変化に伴い、ブランドも「誰が、どのような思想で、何のためにつくったブランドなのか」が問われるようになりました。

消費の傾向が、所有から意味に変化した背景には、消費の成熟化があると言われています。

かつては日本もモノが足りない時代があり、商品やサービスの機能的な価値で、生活が豊かに変わっていきました。しかし、現在は、生活に必要なモノはほぼ行き渡り、これ以上の利便性を追求することが難しくなっています。

そのため、機能性だけでは得ることができない、体験や経験、そしてブランドの持つ意味が問われるようになったのです。機能的な価値だけではない、情緒的な価値が求められるようになりました。

ブランドの根幹にある思想は短期間でつくることはできませんし、上辺だけを取り繕ってもすぐに見破られてしまいます。「サステナビリティへの向き合い方」「地域貢献」「ダイバーシティ」「歴史・文化伝承」など、ブランドとしての社会貢献的側面を明確にし、存在意義を持って運営していくことが求められているのです。

かつてはブランドと言うと、贅沢品だと捉えられている時代もありましたが、今の「ブランド」とは必ずしも贅沢を意味しません。

見た目が豪華で美しいことよりも、ブランドの根幹にある思想に価値が見出される時代に変わったのです。

八木 彩:アートディレクター

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