イラン攻撃→「全面衝突」あるか、たった1つのカギ 「水面下の戦争」から局面一転、直接攻撃の衝撃
東洋経済オンライン / 2024年4月15日 15時40分
イランは4月14日、イスラエルに対して大規模な攻撃を行った。イスラエルはどう反応するのか(写真:REUTER/Christophe van der Perre TPX IMAGES OF THE DAY )
イランによる4月14日(日本時間)の無人機や弾道ミサイル、巡航ミサイルを使ったイスラエルへの攻撃は、鉄壁の対空防衛網が機能したため、大きな被害は出なかった。だが、イランによるイスラエル領内を狙った直接的な攻撃は初めてで、イスラエルが報復に踏み切れば、中東の親イラン勢力を巻き込む形で戦火が一気に拡大する懸念が強い。
今回の攻撃で浮上した「懸念」
今回の攻撃は、シリアのイラン大使館で1日にイラン精鋭部隊、革命防衛隊の司令官ら7人が殺害されたことに対する報復だが、事態をエスカレートさせないよう抑制されたものだったとの見方もある。
ただ、イランと敵対してきたイスラエルのネタニヤフ首相が、核兵器開発疑惑のあるイランを攻撃する好機と捉えたり、イランに支援を受けるパレスチナのイスラム組織ハマスの殲滅を狙ったガザ地区への攻撃を強化したりする可能性がある。
暗殺作戦や親イラン勢力の参加という形で「水面下の戦争」を繰り広げてきた両国が直接対決に転じたことで、イスラエルによるイラン核関連施設の空爆や親イラン勢力と連携したイランによる大規模攻撃など両国による全面戦争へのハードルが大幅に下がった格好だ。
イランは攻撃に無人機約170機、巡航ミサイル30発以上、弾道ミサイル120発以上を投入したほか、小規模ながらもイランやイエメン、レバノンの親イラン勢力も攻撃に加わった。
イランは大使館への攻撃を「われわれの本土への攻撃と同じ」(最高指導者アリ・ハメネイ師)と反発して報復を宣言しており、イスラエル領内への攻撃が確実とみられていたが、想定よりも大規模だったとの見方もある。
ただ、イランの国連代表部は、攻撃の最中に「問題はこれで終わったものと考える」と早々に事態の幕引きを図り、イスラエルの報復攻撃を牽制した。
イスラエルは弾道ミサイルを想定した対空防衛システム「アロー」や、最大射程300キロ程度のミサイルを対象にした対空防衛システム「デービッドスリング」、ロケット弾や攻撃用ドローンを迎撃する防空システム「アイアン・ドーム」を実戦投入して磨きをかけてきたことをイランも熟知しており、大半は迎撃されることを想定していたもようだ。
弾道ミサイルはイスラエル軍基地に着弾
さらに、イランは中東の関係国などに対してイスラエルに対する攻撃を行うと事前に通告しており、イスラエルやアメリカが攻撃に対処できる余地を与えていた。この結果、中東に駐留するアメリカ軍や発進したイスラエル軍機がシリアやヨルダン上空などでイスラエル領空に無人機や弾道ミサイルが侵入する前に大半を迎撃した。
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