ハーレーダビッドソンが熱いファンを作る仕組み 直営販売店がなくても顧客との関係性を構築
東洋経済オンライン / 2024年4月16日 19時0分
1981年にハーレーダビッドソンは再び独立します。しかしホンダやヤマハや欧州勢などの競合の前に最悪の業績となり稼働率は半分以下になります。
アメリカで唯一生き残ったオートバイメーカーを守るため、アメリカは5年間という期限つきで大型バイクの輸入に関して関税を課します。この間にハーレーは抜本的改革に乗り出し、新技術の導入や従業員関与、統計的プロセス管理、ディラー獲得や顧客維持を支援するプログラムも導入し大きな成果を上げ復活を果たします。中でも顧客との関係性構築に貢献したのは、「H・O・G」とよばれるハーレー・オーナーズ・グループでした。
日本でのハーレーダビッドソン
日本でのハーレーダビッドソンに話を移しましょう。輸入は古く、1917年には宮内省と陸軍にハーレーが納入されていたようです。戦前、製薬会社の三共が輸入権を獲得し、その後国内生産の契約をとりつけました。
1989年にアメリカのハーレーダビッドソンが日本子会社としてハーレーダビッドソンジャパン(以下HDJ)を設立。HDJは1991年にアメリカ・ハーレーダビッドソン100%の完全子会社となり、奥井俊史社長が誕生しました。当初はホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキという世界を席巻する強豪オートバイメーカーがしのぎを削る日本市場では流石のHDJも大苦戦するだろうと思われていました。
しかも年々市場が縮小し過当競争になっていました。そんな中でも奥井社長率いるHDJは年々シェアを増加させ、2000年には751cc以上の大型バイク市場でハーレーダビッドソンはシェアNo.1をとるに至りました。
なぜ縮小するバイク市場でHDJは成長できたのでしょうか。価格は日本勢の大型バイクが100万円とすると、2倍以上する220万円以上の高価格路線でした。物理的な性能ではハーレーは日本のオートバイに劣っています。しかも燃費も悪くさらに重いのです。奥井社長は、価格でなく価値を経験させて売る戦略に徹したのです。
関係性構築の視点からいうと、販売店との太い関係性構築を目指すディライトフル・リレーションシップと、直接顧客にハーレーの世界観を体験させ、経験価値を高めて関係性構築をする2本柱でした。当時まだネットもあまり発達せず、SNSなどのツールが全くなかった90年代に関係性マーケティングをしているのです。奥田マーケティングを一言でいうと、モノを売るマーケティングではなく、コトを創るマーケティングに徹したことでした。
販売店とウエットな人間関係を構築
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