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ハーレーダビッドソンが熱いファンを作る仕組み 直営販売店がなくても顧客との関係性を構築

東洋経済オンライン / 2024年4月16日 19時0分

HDJは直営の販売店を持っていません。ハーレーの正規販売店は日本のオートバイ販売店のわずか1%に過ぎませんでした。その3分の2はハーレー以外のメーカーとの併売店で、しかも小規模な販売店がほとんどでした。

店主にはメールさえも使えない昔ながらの頑固な人も多く、データベース・マーケティングとかディライトフル・リレーションシップ・マーケティングとかに全く関心もありませんでした。聞く耳を持たなかったのです。これらの店主たちを奥井社長と営業部隊は、根気強く、ウエットな人間関係などのアナログと各種データの管理と共有というデジタルの両面で根気強くアプローチしていきました。

例えば、奥井社長や営業部隊は販売店の店員の結婚記念日や誕生日にメッセージやプレゼントを贈ったりして徐々に関係を重ねていきました。営業担当者は日々販売店の相談に耳を傾けてアドバイスを親身になってやっていきました。

商機を逃さず顧客にアプローチできるようにするため、それぞれの販売店やHDJでバラバラだった顧客情報を一元化して共有できるデータベースも構築しました。これらによってハーレーを扱っている販売店の売り上げが増えていきました。

面白いもので「HDJと関係していると儲かる」となると正規販売店とHDJとの絆はますます強くなっていきました。顧客データが正規販売店とHDJの間で完全に共有されました。

顧客との関係性構築の2つの柱

顧客との関係性構築は主に2つの柱があります。1つはハーレーを購入してくれた既存顧客や新たに購入した新規顧客に対してです。もう1つは潜在顧客に対してです。ハーレーを購入すると全員「LIFE STYLE BOOK」という冊子を受け取ります。そこには「ハーレー10の楽しみ」が書かれています。

「知る」楽しみ ハーレーの歴史や商品についてあれこれ知る楽しみです。

「乗る」楽しみ 読んで頭に入れてから乗ってみるとハーレー好きにはたまらない楽しさ。

「創る」楽しみ これもたまりません。自分好みに愛車をカスタマイズする楽しみです。

「競う」楽しみ 仲間とファッションやカスタム、レースなどで自分らしさを競います。

「選ぶ」楽しみ パーツやファッションや装飾など選ぶ楽しみが広がります。

「出会う」楽しみ ハーレーを通して仲間と出会う楽しみが世界を広げてくれます。

「愛でる」楽しみ 愛車を常に手入れし優しく乗っていると愛着が増していきます。

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