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2億人市場に本格参入「逃げない日本企業」の勝算 ダイキン、ポカリスエット、サロンパスの戦略

東洋経済オンライン / 2024年4月19日 7時40分

現地パートナーとマーケット開拓

ダイキンの海外展開は、これからアフリカでビジネスをしようと考えている日本企業に、大きなヒントを与えてくれると思います。

注目したいのは、1990年代は日本の売上が全体の9割だったことです。ところが、2023年には海外での売上が全体の8割強を占めています。日本での売上は約5000億円と変わりないのですが、海外での売上を合わせると2兆5000億円。2兆円を海外で稼いでいるのです。

しかも、進出した国で「すべて勝つ」ことを目標とし、行く国々で次々にトップを取っていった。中国でトップを取り、東南アジアやインドでもトップを取り、いよいよアフリカに進出しました。

ダイキンが中国、インドで成功したポイントの1つが、幅広い代理店戦略です。製品の販売やサービスを担ってもらう会社を、1か国1社に任せるなんてことは絶対にしない。複数の会社をパートナーとするのです。

ダイキンは中国で、実に2万店近い代理店を、全国すべての地域と、すべてのルート(専門店、量販店、プロジェクト案件、商業物件など)ごとに、代理店網を築き上げていきました。彼らと一緒にビジネスを成功させていく。この代理店モデルが、ダイキンの成功パターンの1つです。

そして、参入当初は製品もフォーカスしました。エアコンには家庭用から業務用まで、いろいろな種類がありますが、多くの議論の末に、まず彼らが決めたのは、ビル用マルチ/カセット型とも呼ばれる、業務用天井据え付け型のエアコンに力を入れていくことでした。家庭用エアコンはレッドオーシャンだったこと、一方でビル用マルチはダイキンが強い領域だったことが、その理由でした。

そして興味深いのは、このビル用マルチのエアコンを誰に売っていくか、ということです。実は、大型ビルでエアコンをどれにするかを決めるのは、ビルの施主ではないのです。

では、誰が決めているのかというと、「設計士」でした。日本でいう一級建築士のような資格を持つ「設計士」が、大型ビルのエアコンを決めていたことがわかったのです。だったら、これらの「設計士」を代理店にしてしまえばいい、と「ダイキンを扱いませんか」と営業していきました。

併せて、壊れたらすぐに駆け付けて修理する。旧正月でもクリスマスでもすぐに行く。代理店まかせではバラつくので、メーカーが修理・クレームは受け付けて、担当の代理店に指示を出す。その結果も、毎週開示する。それによってカスタマーサクセスが抜群に向上しました。

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