2億人市場に本格参入「逃げない日本企業」の勝算 ダイキン、ポカリスエット、サロンパスの戦略
東洋経済オンライン / 2024年4月19日 7時40分
【2024年4月22日17時20分追記】初出時、上記のエアコンの売り方に関する説明で誤りがありましたので、お詫びして修正いたします。
成果を全うするまで日本に戻らない
ダイキンは中国での成功を経て、次は東南アジアやインドに進出します。ほぼ同じやり方をしています。インドには2000年に参入。初期調査をした上で、電力消費効率が良いインバーターエアコンを中心に参入しました。中国同様に1万店の小規模代理店を構築しました。併せて、市場参入から相当早いタイミングで、現地に大規模工場を設立し、コスト面でも競合に勝てるようにしました。結果、2020年には売上1000億円、市場シェア20%のトップとなりました。
代理店を含めた人のマネジメントが簡単にはいかないのがインド。そこで、インドのエアコン業界で30年もの経験があるカンワル・ジート・ジャワ氏を、井上礼之会長が口説き落とし2010年からダイキン・インドに参画してもらいました。ジャワ氏の手腕は大きく、現地のローカルのマネジメント、営業戦略や代理店マネジメントなどはすべて任せたのです。
実は中国でも、中国人幹部を育成し活用したのが、ダイキンでした。日本人がやるには限界がある。現地のことは、やはり現地の人材が詳しい。そこで、現地と日本人のダブルトップ体制を敷いたのです。
さらに、優秀な人材には、それなりに報いる必要があります。そうでなければ、すぐに辞めてしまう。だから、権限も与え、日本人をはるかに上回る報酬も用意しました。そうすれば、簡単に辞めたりはしません。
ちなみにダイキンの日本人社員は、基本、赴任したら成果を達成するまで戻らないのが原則です。中国に行ったら、基本、成果を達成するまで中国。インドに行っても同様。現地に根付くからこそ、本気で勝とうとする。現地に根付いて戦うファイターをつくったのです。アフリカでも、同様になるでしょう。
もちろん、戦略は必要です。いきなりレッドオーシャンに行っても苦しい。だから、ダイキンは中国なら「ビル用マルチ/カセット型」、インドなら「高級インバーター」から入った。そこで代理店網をしっかり築き、次に工場を早いタイミングでつくってコスト競争力もつける。そして工場などは日本人がしっかり見るけれど、現地のマネジメントと代理店網の維持拡大はローカルの人材に任せる。
逃げていたら、ずっと勝てない
ローカル人材はポジションを与えてもすぐに辞めてしまう、という声もあります。それは納得して活躍できる場を提供し、その成果に基づいてしっかり報いていないからです。活躍できる仕事があり、ちゃんとした報酬を支払っていれば、ローカル社員も定着します。その会社にいるメリットが相対的に薄いから辞めるのです。
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