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「ガチャで借金200万円」唯一の居場所とその代償 頼りにされている、期待されていると感じた

東洋経済オンライン / 2024年4月19日 12時0分

それからは寝食を忘れてゲームに没頭。左手にスマホを握ってプレイし、右手でパソコンを操作しながら掲示板に書き込んだ。1日に30万円をつぎ込んだこともあった。複数のプレイヤーが一緒に戦う協力プレイでは、強力な装備を持つ人が仲間に誘われることが多い。また、ネット上では借金も“武勇伝”として受け止められたという。

ユウイチさんは「『一緒に敵を倒そう』『熱心に課金してくれるユーザーのおかげで配信が続く』と言われ、頼りにされている、期待されていると感じました」と振り返る。

しかし、終わりはあっけなかった。ゲームは開始から4年後の2019年に配信が終了。理由は「課金による収益を伸ばすことができなかったため」だった。

「ゲームが終わると、掲示板からも人がいなくなりました。残ったのは借金と、これからどうすんのという焦りだけでした」

先にも書いた通り、ユウイチさんの子ども時代はいじめられた記憶しかない。

小学校に入学した直後は同級生へのいたずらが度を越えてしまい、親が呼び出されることもあった。社会科見学の際は担任教師から「外では面倒をみられない」と言われ、学校で1人自習をさせられたという。

ユウイチさんは「自分では冗談のつもりが、やりすぎてしまう。当時は自覚がありませんでしたが、落ち着きのない、問題行動の多い子どもだったと思います」と語る。

エスカレートするいじめ、教室に居場所はなかった

空気の読めない子どもがいじめのターゲットになるのに時間はかからなかった。小学校では髪の毛にガムを付けられたり、筆箱に唾を吐かれたりした。中学校に入ると水筒の水を飲まれたり、マッサージを強要されたり、10人ほどのクラスメートからかばんを自宅に届けるよう命じられたりするなど、いじめは陰湿化。女子生徒からも「邪魔だよ、パシリ!」とののしられるなど教室に居場所はなかったという。

高校では教科書を勝手に売り払われたほか、「1000円」「2000円」と書かれた紙切れを渡され、購買にパンを買いに行かされた。パンは自腹で買わされ、さらにお釣りと称して現金も巻き上げられたという。また、無理矢理万引きをさせられた場面を携帯で撮られ「ばらされたくなかったらもう1回やれ」と脅された。もはや犯罪である。

匿名で教師に手紙を出して助けを求めたこともあるが、事態は変わらなかった。一度だけ、いじめに気が付いた中学校の担任教師が加害者たちを叱ってくれたが、逆にクラスの大半が教師を無視するようになり、学級崩壊状態に。ユウイチさんは「この先生には自分のせいで迷惑をかけてしまったと、今でも申し訳ない気持ちになります」と目を伏せる。

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