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「ガチャで借金200万円」唯一の居場所とその代償 頼りにされている、期待されていると感じた

東洋経済オンライン / 2024年4月19日 12時0分

2つめは、パート先での勤務が5年を超えた時点で無期雇用に転換されなかったことだ。会社側から無期雇用になれるという旨の説明を受けた記憶はないという。

私がこれらを指摘すると、ユウイチさんは任意整理をめぐる問題についても、無期雇用転換の法制度についても「知りませんでした」と言った。

「発達障害のための支援を早く受けたかった」

人生をやり直せるとしたら、「小さいころに(ほかの子どもたちと)自分を分けてほしかった」とユウイチさんは言う。発達障害のための支援を早期に受けたかったというのだ。

持論にはなるが、発達障害のある子どもの特性を必要以上に抑え込んだり、薬物治療を施したりすることには疑問がある。ただ「障害のせいでいじめを受ける子どもがいるなら、その前に助けてあげてほしい」というユウイチさんの訴えは切実に響いた。

ユウイチさんによると、現在は節約のために食事は1日1回。生来の不器用さから自炊は無理だったといい、いつも決まった牛丼チェーン店に行く。野菜をほとんど取っていないからか、最近の健康診断では、医師が驚くほど血液のpH値が酸性に偏っていることがわかった。コレステロール値と尿酸値も基準値をかなり上回っていたという。

典型的な貧困による健康格差である。ユウイチさんは「でも、できることといったら、(牛丼チェーン店での)大盛りをやめてサラダにすることくらいですよね」と苦笑いする。

就職活動も難航している。正社員を希望し、転職支援サイトを通して応募を続けているが、書類選考の時点で落とされる。非正規雇用にも対象を広げたが結果は同じ。このまま仕事が決まらなければ、ハローワークで障害者雇用を探そうと考えている。

ただあまり焦りはないという。ユウイチさんは理由について次のように説明する。

「友達と会話しているような経験が楽しかった」

「30歳くらいまでは“普通の人”へのあこがれがすごくありました。普通は結婚をして家や子どもを持ちますよね。でも、最近は自分は自分。なれないものになろうとするんじゃなくて、身の丈に合った生き方をしよう。自分と普通の人とでは土台が違う。そう考えると、以前のようなしんどさや孤独感がなくなりました」

「普通」という言葉を繰り返しながら、そこにはどこか自らに言い聞かせるような響きがあった。

ユウイチさんは「ゲームというより、友達と会話しているような経験が楽しかった。これってゲームで借金をする人のあるあるなんじゃないでしょうか」とも言っていた。

最後に、ゲームで借金をつくったことを後悔していますか? と尋ねてみた。ユウイチさんしばらく考えた末にこう答えた。

「後悔はない、です。自分にとってはいい思い出でした」

本連載「ボクらは『貧困強制社会』を生きている」では生活苦でお悩みの男性の方からの情報・相談をお待ちしております(詳細は個別に取材させていただきます)。こちらのフォームにご記入ください。

藤田 和恵:ジャーナリスト

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