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入学式取材で見えた「東大新入生」のリアルな変化 「将来像これから」「政治の話は引いてしまう」

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 7時30分

理科一類の男子学生は式の後、「すごく心に響く言葉が多かった。今後の学生生活でどういうところを目指していけばいいか、少し考えさせられた感じがしている」と感想を話した。

女子学生の割合は昨年から低下

「構造的差別」の例として、藤井総長が具体的に挙げたのが、女子学生の割合だ。

東大は2021年に示した基本方針の中で、女子学生の比率を3割まで高めていく目標を掲げている。だが、今年の入学生3126人のうち女子学生は646人で20.7%にとどまり、昨年の22.6%から逆に低下する結果となった。

先の男子学生は「僕のクラスは女子が1人もおらず、残念ながら、理系では男女の差はとくに激しい」と明かす。一方、文科三類の女子学生は「個人的には、他大学が女性枠を設ける中で、女性枠がない東大のほうが自分の実力で入れた感じがして好きだ。ただ、そもそも受ける女性の人数が少ない。東大に限らず、日本全体で女性が上を目指す意識が低い雰囲気を感じる」と話した。

性差の問題については、入学生総代を務めた文科三類の山際美愛さんも宣誓の中で言及している。

「女性だから男性だからという二元論を毎日のように耳にする。私自身振り返ると、何か決断する時に自分の性別を言い訳にしているときがある。生まれ持った性別にかかわらず、個人個人が社会で輝くには、私たち1人ひとりが自覚なく持っている偏見をなくそうと努力する必要があるのではないか」

入学を祝福された東大生らはそもそも、なぜ東大を目指したのか。先の文科三類の女子学生にたずねると、「進学校に通っていたので、やるなら1番上を目指したかった」と一言。将来については「国際関係を勉強してみたいが、イメージがあまり固まっていないからこそ、東大にした」という。

「やりたいことが決まってないからこそ、東大を選んだ」というフレーズは、この女子学生に限らず、この日に記者が話を聞いた多くの新入生から聞かれた。

東大の教育課程は、1~2年生の「前期課程」と、3~4年生の「後期課程」に分かれており、後期から専門学部に配属される「進学選択」の仕組みが特徴だ。東大生といえども、入学した段階で将来の明確なビジョンを持つ学生は少なく、入学後に進路を決められる点に魅力を感じたとの声が多かった。

入学式では、真船文隆・教養学部長が式辞で、過去に学生たちを集めて「未来の自分の姿」を語ってもらったエピソードを紹介し、「感じたのは、(入学直後の学生は)自分の将来を具体的に語るのに必要なボキャブラリーが不足しているということだ。前期課程を、『自分の夢を語るボキャブラリーを育む時間』にしていただきたい」と、新入生に語りかける場面もあった。

データが示す入学動機の変化

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