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入学式取材で見えた「東大新入生」のリアルな変化 「将来像これから」「政治の話は引いてしまう」

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 7時30分

夢を見つけるのは、入学後でいい――。新入生から感じられた意識は、データでも裏付けられる。

東大が2021年度に実施した「学生生活実態調査」では、入学動機について「入学後に学部の選択が可能だから」との回答が48.6%と最多で、次の「社会的評価が高いから」の42.1%を大きく上回った。

この調査からは、興味深い経年変化も読み取れる。2014年時点では52.1%と最も多かった「社会的評価が高いから」という動機が、大きく低下傾向にあることだ。同様に、「将来の就職を考えて」との回答は減少傾向にある一方、「スタッフ、設備が優れているから」は大きく増えた。

一連のデータからは、社会的評価や就職上の有利さといった「東大ブランド」=「名」へのこだわりが薄くなる反面、東大に行くことで幅広い選択肢や充実した研究環境を得られるという、「実」が重視されるトレンドがみられる。

キャリアの多様化や流動化が進む中、東大に入っただけでは安泰とは言えず、東大生も早い段階で将来を見定めることが難しくなっているのかもしれない。

こうした多様化の流れを象徴するのが、東大生の“官僚離れ”だろう。

人事院によると、2023年度の東大生の国家公務員総合職(キャリア)試験合格者は367人で、500人を超えていた10年前と比べ、約3割減少。記者が話を聞いた十数人の新入生のうち、官僚に興味を持っていると話した学生も1人にとどまった。

入学式では、東京大学校友会の宗岡正二会長(元新日鉄住金会長)が祝辞を述べる中で、「政治に関心を持つこと」の重要性に触れていた。「国の政治や政治家のレベルは、その国の国民の知性や倫理観が反映されると言われている。政治から逃避し、批判だけすることは許されない。これから皆さんには、当事者として関心を持ち、民主主義の力強い担い手となることを期待したい」。

ただ、宗岡氏が語った期待とは裏腹に、政治に関心を持つ学生は、少ない印象を受けた。

理科二類の男子学生は「政治は僕も含め興味がない人がほとんど。熱量を持って語る人をみると、引いてしまう」と語った。文科二類の男子学生も、「正直、政治は『わからない』の一言」と戸惑いを見せた。

政策以前に、政治への関心が薄れていれば、官僚離れが進むのは自然な流れだろう。

将来の道はベンチャーや起業も選択肢に

最近の東大生の就職先としては、官僚に代わる形で、外資系のコンサルや投資銀行を志望する学生が多いとされる。将来を強く意識する上級生の見方はどうか。学部生の入学式の後、大学院向けの式に出席するために入れ替わるように現れた院生たちに、最近の実情をたずねた。

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