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娘が振り返る「山田太一さんが家庭で見せた素顔」 両親の思い出が主題の映画「異人たち」が公開

東洋経済オンライン / 2024年4月20日 13時0分

家族で囲む夕飯のときには大笑いもしましたし、子どもながらにしあわせで温かい気持ちに包まれた日もよくありました。

けれども弟はアメリカに行き、姉もわりと早くに家を出て。わたしは28で結婚するまでは家にいましたが、やはりどんどんいなくなっちゃうのは寂しいんだなって思いましたね。

むしろ大人になってから気がついたことのほうが多いんです。結婚してからたまに帰ると、両親がこんなにも喜んでくれるのか、とか。ちょっとセンチメンタルな気分になることはありました。

若いころは子育てだけで忙しいですから、親の感情とかについて考える暇もなかった。子煩悩だとは思っていましたが、家族を大事にしようという意識が父の中でかなり強かったのだなというのは、最近になって気づきました。

友だちが泊まりに来たときに変わってるねと言われたことがありました。家族で食事をして、みんなで洗いものを手伝うんです。父も率先して洗っていましたし。それで片付けたらみんなサーッと大抵は部屋に行っちゃうんです。友だちはそこが変わっていると感じたようです。

友人にも驚かれるほどマメだった

22時ぐらいにみんなまた居間に降りてきて一緒にニュースを見たりしました。割と自分の時間をそれぞれ過ごす感じがありましたね。まず父は部屋に行っちゃいましたね。母が父はまるで「下宿生みたいだ。食事のときだけ降りてくる」と愚痴っていました。

あと(松竹の)助監督だったせいかマメなんですよ。すごくマメに動いてました。家のゴミ出しも何でもするし、せっかち。家族で出かけても、駅の近くになると小走りで先に行っちゃって、全員の切符を持って立って。みんなに配る。改札を通るとまた回収して父が持つ。食事もいつの間にかお会計を済ませているとか。父親ってそんなもんなのかなと思っていたら、友だちからはそんなマメな人はいないと言われました(笑)。

――確かに助監督や制作部は撮影現場をスムーズに進めるために効率を求めがちだと思うので、動きに効率を求めるのは助監督や制作部経験者に多い思考だと思います。

のんびりしているように思われがちですが、無駄を省きたいというところがありました。スマホがない時代でも、効率的に。この駅ではここで降りるとすぐに階段だとかいうのを頭に入れてましたから。

わたしが子どもを連れて車で実家へ帰るときは、あと5分くらいでつくよと連絡を入れると、着いたときには車庫のシャッターを開けて、満面の笑みで迎えてくれる。

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