激しく扉を叩いて…夜中「紫式部」訪れた男の正体 「布一枚残して消えた」空蝉と紫式部の共通点
東洋経済オンライン / 2024年4月21日 14時0分
一方で、紫式部はすでに夫と死別して、一応自由の身だったし、道長のことも嫌いではなかったのかもしれない。しかし、彼女はそれでも戸を決して開けなかったのだ。それは現代風な不倫の意識があったからというよりも、空蝉のような中流女性の哀しい人生をたくさん目の当たりにしていたからなのではないだろうか。
光源氏が持ち去った袿は、空蝉が都を去るときに再び彼女のもとに返される。今度は彼の匂いがほんのりと染み付いており、それに気づいた女は実らなかった恋に思いを巡らし、涙を流すという。その匂いの往来をたどって見えてくる恋路は、切なくて儚い。
『源氏物語』の詳しい成立過程がわからないからには、空蝉のエピソードがいつ綴られたのかも不明のままである。殿上人に言い寄られた作者本人の恐怖体験がそこに投影されているのか、それとも後になって現実が物語に追いついたのか、永遠の謎だ。しかし、しっかりと閉ざされた戸にも、脱ぎ捨てられた一枚の布にも、たくさんの女たちの哀しさ、そして恋の危なさが象徴されていることだけは確かだ。
イザベラ・ディオニシオ:翻訳家
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