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日本中で大号令「貯蓄から投資へ」に感じる違和感 預貯金は時代遅れ? 金利が動く今考えたい本質

東洋経済オンライン / 2024年4月23日 11時20分

新NISAで投資が話題になり「貯蓄から投資へ」といわれるが、正しいのは「貯蓄も、投資も」だ(写真:Fast&Slow/PIXTA)

「マイナス金利政策解除、ならびに市場金利の変動をふまえ、円預金の金利を改定いたします――」

【写真】金融機関から発表が相次いでいる円預金の金利改定のお知らせ

この文言で始まるリリースが、続々と各銀行から届き始めた。いよいよ金利が上がるのだ。

メガバンクは普通預金金利を、それまでの0.001%から0.02%へ引き上げ、各ネット銀行でも0.02~0.03%への改定が相次ぐ。

コンマ3ケタが2ケタに上がったところで「金利がある時代」なのかどうかはともかく、円預金に光が当たる日が来ようとは。おりしも、新NISAですっかり投資に話題をさらわれた2024年だというのに。

ただ、「貯蓄から投資へ」という言葉はそもそもおかしい。お金には役割があり、それに適した置き場所がある。「貯蓄も、投資も」が正しいはずだ。それぞれに適材適所、得意不得意があるからだ。では、貯蓄が得意なこと、適した使い方、逆に不得意なことは何か、改めて考えてみたい。

普通預金では金利を語るなかれ

元来、金融商品には「安全性」「流動性」「収益性」の3つの性質があり、お金の教科書にはその視点で適正な商品を選択すべしと書いてある。ざっと当てはめれば、安全性が高いのは元本保証がある普通預金と定期預金(ゆうちょ銀行なら定額預金も)であり、流動性が高いのが普通預金(ゆうちょ銀行では通常預金)となる。ただし、収益性は高くない。ローリスクローリターンの法則というわけだ。

しかし、現在の日本では収益性ばかりに注目が集まり、その結果としてNISAやiDeCoがもてはやされている。

当然ながら、投資商品で運用する限りはリスクが生じる。そこで、一気に大きな資金を投資するより、少額で時間をかけて積み立てすれば価格変動リスクも平準化されますよ、と疑似的な“安全っぽさ”がアピールされている。

また、投資によって将来どれだけ資産が増えるかは誰にも断言できないので、過去のシミュレーションをもとに「預金に預けているよりは増えるでしょう」と、ぼやっとした言い方がされることになる。

話を戻そう。つまり預金には「増える」ことは期待されていない。となると、「短い期間で使うためのお金」の置き所として利用するのがいい。減っては困るような、使う時期がはっきりしているお金を置いておくのにちょうどいいのだ。

まずは普通預金から。用途は言うまでもなく生活費だ。流動性がとびきり高く、いつでも引き出せる。その代わり金利は高くない。なぜなら金利とは不便さと比例しながら上がっていくからだ。10年ものの定期預金は、利用者が10年引き出せない不自由と引き換えに金利が高くなっている。つまり、普通預金は貯める目的には一番そぐわない。

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