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「ソロ活」の心地よさの先にある自由と社会的孤立 若者の孤立を防ぐ立場から見たシングルと役割

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 10時40分

こうした「状態としてのひとり」のリスクは、多様性の中で普段は目にみえず、不平等や格差が覆い隠されていますが、例えば、個人的には経済的な基盤を失うような大病、社会的には大災害など、ひとたび、非常に困難な状況に直面したとき、リスクの高いシングルに、ふだんの格差・不平等がさらに増幅して現れる可能性があります。先ほどみたように、家族・親族に頼れない場合は深刻な状況に陥ります。(『東京ミドル期シングルの衝撃』226-227頁)。

このように、シングルが困難な状況に直面すると社会的孤立に追い込まれてしまう可能性が高いことを述べています。

シングルというステータス

一方で、特に東京や都市部におけるシングルは自立と言われ、社会人としての常識的なあり方であり、故郷や家族、友人などを犠牲にしてでも手にいれるべきステータスだと思われてきました。そして現にシングルであることは、大都市において快適な生活をもたらしてくれるものでした。この点も酒井は以下のように述べています。

大都市に暮らすミドル期シングルの利点は、好きな所へ行けて、好きなことができる、自らの心のおもむくままな、自由さがあることにあるといえましょう。近年、外でひとりで過ごすという「ソロ活」(単独を意味する「ソロ」+「活動」の略)という言葉は、まさに、誰かと一緒にではなく、ひとりで好きな場所へ行き、ひとりで好きなことをして、有意義な時間を過ごすことであり、シングルの生活スタイルを象徴しています。(前掲書、216頁)。

ここにも大いに共感するところです。1983年生まれの僕は地域活動や集団行動などを嫌い、いつも「ソロ活」を理想的な状態だと夢見ていました。

ファミコンの発売と東京ディズニーランドの開園の年に生まれた僕は、一方で物心がついたころにはバブルは崩壊していました。いつのまにか世の中では自己責任論が飛び交い、この厳しい世の中を勝ち抜くためには何事も自分一人でできるようにならねばならない。このような言説がドラマや漫画、ゲームなどによって振りまかれてきましたし、それを当然のことと思って過ごしてきました。

その証拠にみるみるうちに隣近所の付き合いは減り、みんなが自己利益を追求することが当然だとされる文化が醸成されていきました。テレビやゲーム機も一家に一台から一人一台へ。携帯電話やパソコン、ウォークマンなどの発展が拍車をかけました。体感として、凄まじいスピードで一人になれる時間が増えていきました。

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