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大谷翔平と水原一平、くり返す「側近の裏切り」 「あの人がだますなんて」気づけないカラクリ

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 9時30分

私たちの世界観は、何らかの考えに対する思い込みをしているときと同じように、他人に対する思い込みをしているときにも大きく変わることがある。「信頼」という概念は、人が詐欺に引っかかる原因の説明として用いられがちだ。

しかし筆者は、なぜ人はだまされやすいのかについて考察する際、「信頼も一種の思い込みだ」と見なすべきだと考えている。

人は、他人や組織を信頼しているとき、相手が真実を語っていると考え、その主張を精査したり、信頼できない情報源や、真実を語っているとは思えない情報源に対して批判的になろうとするのを怠ってしまう。

信頼とは、理論的に考えられないとか、知性が足りないといった兆候の一種ではない。

選択盲(注:自分の選択を肯定するために、後づけで「自分はこれがよいと思ったから選んだ」と思い込む現象)やその他の多くの研究からわかるように、それが自分の選択だと思うから冷静な判断ができなくなる。

むしろ、自分の主張ではなく他人のだと思えば、その主張の欠陥に気づけるのである。

「史上最悪の投資詐欺」に学ぶ

信用した相手の主張を鵜呑みにしやすくなる私たちの傾向は、大規模な詐欺が長くはびこる理由を説明するのに役立つ。

ランパート・インベストメント・マネジメントに勤務するフランク・ケーシーは、ビジネスパートナーがバーニー・マドフのポンジ・スキーム(注:マドフは世界最大の投資詐欺を行った人物。2008年に逮捕されるまで数十年にわたり、ウォール街の投資家から世界中の金融機関にいたるまで、多くの富裕層から巨額の資金を集めてねずみ講詐欺に手を染めていた)に関する秘密情報を証券取引委員会(SEC)に通告しようとしたことから、顧客の家族に「全財産をマドフにつぎ込むのはあまりに危険すぎる」と忠告した。

数カ月後、マドフのスキームが破綻したにもかかわらず、その顧客いわく、ケーシーの忠告に対して彼の義父はこう言ったという。

「善意で言ったのだろうが、なにもわかっちゃいない。バーニーがわれわれをだますなんてありえない」

こうした思い込みが、マドフのスキームが極めて長く運用され続けた原因になっていた。

信頼は、信頼する側がされる側と親しくなればなるほど強くなり、さらに強固になっていく。マドフが詐欺に手を染めたのは、ニューヨークの金融業界でリーダーの地位を確立したあとだとされている。

マドフに投資した人の大半は親族や友人、知り合いだった。それ以外の人々は彼らと縁故があった。要するに、マドフは親交を利用して、自分を信用する投資家たちのネットワークを広げたのである。

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