「運」で未来が決まる理不尽な社会に怒っていい 「だってしょうがなくね?」のままでいいのか
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 12時30分
生活が保障されない国である以上、子どもたちを受験戦争に巻きこみ、競争を強いるしかありません。
私たちはいつまでも子どもの面倒を見られません。自己責任で生きていける大人になってもらうしか、子どもたちが生きのびる道はないのです。
もちろん、競いあうことの大事さは僕だってわかっています。
でも、競争を強いる社会では、自己責任で生きていけない人たちを見下す空気が生まれます。競争の敗者は、努力の足りない人、情けない人とみなされます。
その冷たい空気は、自分や子どもたちにブーメランのようにはねかえり、私たちの身を切りつけることになるかもしれないのに、です。
いや、事態はもっと深刻でしょう。人間に競争を押しつける社会は、自由を否定する社会です。競争する/しないを選べる、つまり生きかたを選べることこそ、自由な社会の前提なのですから。
私たちは生きるうえでの選択肢をもっと増やさなくてはなりません。
競争するかしないかを選べる社会を作る、それは、競争しなくても安心して生きていける社会を作ることを意味しています。
社会主義とは違います。競争を否定するのではなく、競争とは違う生きかたも尊重する社会を創造するのです。
でも、僕の想いが期待どおりにみなさんの心に届くのか、どうしても自信が持てずにいます。
なぜなら、社会を変えよう、よりよい社会を作ろう、力めば力むほど、冷めた目で見られるに決まっている、そんな決めつけめいたものが僕のなかにあるからです。
だって、みなさんも聞いたことがあるでしょう。若者や大人だけでなく、子どもたちまでもが口にしはじめている、この悲しい言葉を。
「だってしょうがなくね?」
政治家のせいだ、はもう聞きあきた
それでも僕は自分をふるい立たせ、みなさんに語りかけていきます。絶望のなかに希望を見いだす力を持っているのが人間だと思うからです。
不安な未来に子どもを投げだすしかない、下手に生きのびれば家族に迷惑をかける、社会から公正さが消えようとしている……これらの理不尽を終わらせるためには、私たちは目の前の現実に怒り、政治を使いこなそうと意欲するしかありません。
政治の世界では、目をおおいたくなるような、くだらない事件が次々と起きています。だから私たちは、行動しない、世の中に異議申し立てをしない、そんな自分のことをたなにあげ、ついつい政治家をさげすみ、ののしることで満足してしまいがちです。
でも、ひとにぎりであれ、心ある政治家はいます。政治家や他人の悪口を言っているだけでは何も変わらないことに気づいている人たちだって大勢います。
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