ガザめぐりイスラエルとイランが戦い合う理由 イランを国際的に孤立させようとするイスラエルの思惑
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 5時50分
ガザ戦争が勃発して半年が経過した。イスラエルが掲げた3つの戦争目標「ハマスの壊滅」「人質全員の奪還」「ガザ地区からテロの脅威を排除」はいずれも達成できていない。
拉致されたイスラエル人の人質133人は、今もガザのどこかに監禁されている。エジプトやカタールなどを介して粘り強く人質解放交渉が行われてきたが、膠着状態が続いている今、手詰まり感は否めない。ハマスは人質の生死すら明らかにしていない。
イスラエル北部ではこの半年間、ハマスに同調したレバノンを拠点とするイスラム武装組織ヒズボラが3000発以上のミサイルをレバノンからイスラエルに向けて撃ち込んでいる。今も8万人に及ぶ北部住民は避難生活を余儀なくされている。
イランが育てた武装組織
ヒズボラは1982年、イスラエルの軍事作戦に対する抵抗を機に誕生した。活動の中心拠点であるレバノンは、イスラエルの北と国境を接している。イランが資金提供して設備が整えられ、軍事訓練もイランが行ってきたという、言わばイランが育てた武装組織である。
イランはハマスにも資金提供していると言われ、イエメンのフーシ派もイランの影響下にある。「抵抗の枢軸」と呼ばれるこれらの武装組織が、2023年10月7日のハマスによるテロ襲撃以降、イスラエルに対してミサイル攻撃を続けている。
2024年4月1日、事態が大きく動いた。シリアのイラン大使館の敷地内にある関連施設が爆破され、イラン・イスラム革命防衛隊の精鋭部隊とされるクッズ部隊のモハンマドレザ・ザヘディ司令官を含む7人が殺害された。公式発表はないが、イスラエルによる攻撃と見て間違いないだろう。
ザヘディ司令官はイランのイスラム革命防衛隊の上級幹部で、シリア政権やヒズボラとの連絡役であり、ヒズボラへの武器供給の責任者だった。イスラエル国内のあらゆるテロ事件にも関与したと見なされている人物である。
それから2週間後の4月14日、イランは報復として無人機約170機、弾道ミサイル120発以上、巡航ミサイル30発以上をイスラエルに向けて発射した。イランがイスラエルを直接攻撃したのは初めてのことである。未曾有の攻撃規模に世界では緊張が走った。
イスラエルはこの規模の攻撃に対応するのは難しいと言われていた。しかし発表によると、迎撃率は99%で大きな被害はなかった。
南部の砂漠に住むベドウィンの少女が迎撃された破片に当たって重傷を負い、今も治療中である。直接的な人的被害として報告されているのはそれくらいで、イスラエルはほぼ無傷で未曾有の攻撃を乗り切った。
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