ガザめぐりイスラエルとイランが戦い合う理由 イランを国際的に孤立させようとするイスラエルの思惑
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 5時50分
なぜ不可能と思われた迎撃に成功し、被害を最小限にとどめることができたのか、その理由はいくつか挙げられる。
まず、イランが放ったミサイルや無人機の半分以上はイスラエルに届かなかった。発射に失敗、あるいは途中で迎撃されたためだと言われている。
イランの攻撃に多国間で対応
アメリカ、フランス、イギリス、ヨルダンなどが迎撃作戦に参加し、エジプト、カタール、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーンなどのアラブ諸国も協力したと現地メディアは報じた。この中にはイスラエルと国交のない国も含まれるが、自国領土が危険にさらされるのを阻止するというのが建前である。
アラブ諸国がイランの攻撃に際して、秘密裡にアメリカと情報共有していたことも明らかになっている。サウジアラビアやUAEは戦闘機に領空を開放し、レーダー監視情報を共有し、場合によっては自らの軍隊を提供することも約束していた。対イラン防衛網とも呼べる同盟が機能したと言える。
さらに攻撃の2日ほど前、イランがカタール、トルコ、スイスなどに攻撃の日付を伝えたとイラン自身が明かしている。当然この情報はアメリカやイスラエルの知るところとなり、十分な防衛体制を整えることができた。
実際、イギリスとフランスの外務省は、4月12日にイスラエルへの渡航延期勧告を出している。情報が共有されていた傍証である。
イスラエルの防空システムが機能したことも大きい。防空システムとしては「アイアンドーム」が有名だが、このシステムでは弾道ミサイルを迎撃することはできない。今回は、対弾道ミサイル迎撃システム「アロー」が活躍した。
アローは、中距離弾道ミサイルを大気圏外で迎撃することができる。1991年の湾岸戦争でイラクからスカッドミサイルの攻撃を受けたイスラエルが、開発を続けてきた防空システムである。
イランは4月14日の攻撃直後、国連代表部の公式SNSで「イランの軍事行動は、シオニスト政権によるダマスカスにあるわが国の外交施設に対する侵略に対抗するもの」であるとし、この攻撃によって「本件は終結したと見なすことができる」との声明を出した。
そして、「イスラエル政権が再び過ちを犯すようなことがあれば、イランの対応は非常に厳しいものとなる」と述べ、イスラエルに対して報復を控えるようメッセージを発した。
このイランの攻撃は、G7をはじめ世界から非難されるところとなった。イスラエルは「自分たちの方法と時期で必ず報復を行う」と宣言した。アメリカは報復の連鎖に歯止めをかけるよう、イスラエルに自制を求めた。
イスラエルが再度イランを攻撃
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