"非"ソフトウェア企業のDX化がこうも難しい理由 デジタル化の「見えない壁」を超えられない人へ
東洋経済オンライン / 2024年4月26日 18時30分
「すべての企業はソフトウェア企業である」。DXは、その目的である「データの利活用」、日本の中堅・中小企業が実践できる「既存事業のデジタル化」が推進のカギとなる(写真:Turn.around.around/PIXTA)
「デジタル化」は、すべての企業が避けては通れなくなった。だが、なぜ日本企業のDXは変革に結びつかないのだろうか。それは「DX」という言葉の「定義」と「対象」が一様ではないことに原因があるのではないか――。
DXの推進には、その目的である「データの利活用」と、日本の中堅・中小企業が実践できる「既存事業のデジタル化」がカギとなる。
では、いかにして自社の経営戦略にデジタル戦略を組み込むべきか。その神髄をまとめた『日本型デジタル戦略』(クロスメディアパブリッシング)より、抜粋記事をお届けする。
すべての企業がソフトウェア企業
“Every company is a software company.”
【グラフなど】日本人は「円安」がもたらした惨状をわかってない
「すべての企業はソフトウェア企業である」
デジタル化が加速する今、これほど、「第4次産業革命」の本質を象徴的に表した文章はないだろう。
デジタル化が経済に大きな影響を与えはじめたのは、2010年代前半のことである。多くの企業がクラウドベースのソリューションに移行を始め、データアナリティクス、人工知能、IoT(インターネット・オブ・シングズ)など新たなテクノロジーを積極的に取り入れた。
そうしたなか、2014年にマイクロソフトの3代目CEOに就任したサティア・ナデラが、その後しばらくして使いはじめた「すべての企業はソフトウェア企業である」という文章は、またたく間に世間の注目を集めた。
「すべての企業」――。つまり、どの業界にも適用可能なほど、新たなテクノロジーがビジネスランドスケープを変容させていくことを示唆していたからだ。
この発言は、企業が生産性を向上させる、新しいビジネスモデルを開発する、コストを削減する、より良い顧客体験を提供するなど、企業活動の多くの点でソフトウェアとデータを活用する必要があることを、世界中の経営者に気づかせた。
これにより、伝統的な「ハードウェア」企業でさえも、ソフトウェア開発とデータアナリティクスに力を入れるようになっていった。
“非”ソフトウェア企業がたどる道
しかし今、自社を「ソフトウェア企業」と自認していない「“非”ソフトウェア企業」にとって、ソフトウェア企業への変貌の道は、まったく想像し得ないものだろう。
年商100億円を超えるような企業であればコンサルティングファームに依頼し、道筋・手順を示してもらうこともできる。
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