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"非"ソフトウェア企業のDX化がこうも難しい理由 デジタル化の「見えない壁」を超えられない人へ

東洋経済オンライン / 2024年4月26日 18時30分

しかし、そのような企業はほんの一握りしかなく、自社にフィットせずに業績に結びつかないというケースもよく耳にする。それ以外の日本の企業は全体の99.6%に及び、そのなかでも積極的な取り組みを考えている企業・経営者はほんのわずかにすぎない。

この状況を変えるためにはまず、日本における「DXの見えない壁」について、ご理解いただきたい。

課題は「DX」ではなく、その「壁の打破」そのもの。つまり、ソフトウェア企業に変貌する自社の未来が見えないのは、DXが言語化できていないためだ。

中央省庁が提唱しているDX定義をあらためて確認してみよう。注目したいのは、省庁によりDXの定義が「産業レベル」と「企業レベル」に分かれている点だ。

それぞれを見ていくと、総務省による『情報通信白書』の産業レベルのDX定義は「産業のビジネスモデル」の変革とし、経済産業省の企業レベルのDXの定義は「ビジネスモデルや企業文化など」の変革としている。

これらの中央省庁が提唱するDXとは、まるで19世紀のイギリスの画家であるターナーの絵のごとく、写実的な風景画(業務効率化や業務改革)と、鑑賞者により解釈が異なる抽象画(企業変革)の両画法を、その都度用いてDXの世界観を描き出しているように見える。

そのため、そもそもの前提として、DXの定義が「産業レベル」を対象にしているのか、「企業レベル」を対象にしているのか、読み解く力が経営者に求められている。

また、「企業レベル」であれば、「既存事業」を対象に含めるのか、新たなビジネスモデルにおける「新規事業」を対象にしているのか。あるいはその両方を対象にしているのか。

それは中央省庁のDX定義だけでは読み解けない。

この「企業レベル」のDX定義に関しては、重要な観点があるため、少し補足したい。

日本の99.6%を占める中堅・中小企業経営者の方々は、新規事業や企業変革に踏み込めない理由として、「会社の幹となる既存事業が優先」「既存事業で十分な利益が確保できなければ他への投資はできない」「既存事業で生き残れればそれで十分」とお考えではないだろうか。

事実、既存事業の業務効率化や業務改革から進めなければならない企業もあれば、新規事業を通じた企業変革から進められる企業も存在し、それぞれの置かれている状況は異なる。

しかしながら、提示された文言、たとえば経済産業省の「デジタルガバナンス・コード」にあるDXのプロセスを見ると、主に企業変革を進められる状態の企業にのみ焦点が当てられているような表現になっている。

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