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TVマン見た「絶滅危惧種と暮す民族」驚く日常(後) 2時間のトレッキングで見つけた「景色」「真実」

東洋経済オンライン / 2024年4月27日 8時2分

ダライ・ラマが住む街、ダラムサラの隣に世界中のヒッピーが集まるバクスーという村がある。そこで、インド人ヒッピーに習った、左の手のひらを井戸の形に丸め風よけを作り、その間でライターに火をつける方法を試した。

煙草をふかしながら小さな火種をゆっくりと大きくしていく。最後に大きく息を吸い、煙を肺に入れた。目の前の広大な山を見ながら煙を吐く。煙が、手前にあるピン川とその向こうに見える緑のじゅうたんと交差する。

「うまい、うますぎる」

旅先の大自然の絶景を見ながら煙草を吸うのは、今回の旅で身につけた「旅の楽しみ方」の一つだ。ちなみに、旅に出るまでの46年間、人生で一度も煙草を吸ったことはなかった。

一服した後、ゴロリと岩肌に寝転んだ。空を眺めると、透き通った青空を白い雲がものすごいスピードで流れている。やはり、風が強いようだ。

そのまま10分ほど寝転びながら空を見つめていると、ある異変に気づいた。白い雲が黒い重みを増し、もの凄いスピードで雨雲に変わっていくのだ。

慌てて起き上がると、もともと強かった風が、立ち上がるとよろけるほどの強風に変わっていた。

「カナさん、戻ろう。雨が降るかも」

「そうですね。風もかなり強くなってきてる」

周囲は一瞬にして変貌した。空は黒い雲に覆われ、かつて太陽の光で輝いていた景色はどんよりと暗く、深みを増していく。圧倒的な自然が、別の姿を見せる。

背中に悪寒が走り、「死」を身近に感じた。雄大すぎる自然が恐ろしいのだ。我々は急ぎ足で、ムドの村のほうに向かった。

しかし、途中から雨がポツポツと降り始め、やがて豪雨になった。雨粒は大きく、直接触れると頭皮や肌に痛みを感じるほどだ。

水に濡れた茶色い岩肌はツルツルとし、時折、滑りコケそうになる。山肌の上を見ると、そこにはゴツゴツとした岩がそびえていた。

それを見て、この道に来る途中のルートを思い出した。

良い景色を見るために、山肌を登ったり降りたりしたのだが、そのとき、上の方に転がる石が尖っていて小さかったことを不思議に思った。

おそらく、崩れ落ちた崖の岩が、川の水の影響で丸くならずに残っているのだろう。

「カナさん、少し山を登ってみようよ。あっちのほうが歩きやすいと思う」

決死のジャンプで増水する川を越える

山を登り始めた。やはり、川のそばよりも少し岩が尖っており、時折砂利にもなっている。下の道よりも歩きやすい。

しかし、さらなる問題が発生した。小川の水量が増し、濁流となっていたのだ。川に沿って山肌を登ると、一箇所だけ川幅が狭い場所を見つけた。

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