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宇宙のどこかに人間みたいな生命体がいる必然 宇宙物理学者・佐藤勝彦×生物学者・福岡伸一

東洋経済オンライン / 2024年4月29日 16時30分

福岡 まずは、宇宙における生命体を、地球型生命体のバリエーションとして考えるわけですね。

佐藤 ええ。しかし、もちろん、それだけでは終わらない。私たちの知る地球の植物は太陽光を使って光合成を行っていますが、例えば、恒星にはいろんな種類の星があり、太陽より少し小さい星は太陽より温度が低く赤みを帯びています。

その周りを回る惑星には、地球の植物とは大きく異なるメカニズムで光合成を行う植物も存在するかもしれません。しだいにそういうところまで、探査の対象を広げていければと思っています。

宇宙はここ以外にも無限に存在する

佐藤 私自身は宇宙論の研究者なので、本当はいろいろな生命体を考えたいんです。事実、宇宙科学者は、これまでにさまざまな地球外生命を発想してきました。

たとえば、私たちのように化学反応ではなく、原子核反応によって生命活動を行うもの。有機物の代わりに、プラズマ状態にある無機物で構成される生命体。

フレッド・ホイルというイギリスの天文学者が1957年に発表した『暗黒星雲』というSF小説では、暗黒星雲そのものが知的生命体として描かれています。

奇想天外にも思えますけど、ホイルは、恒星の内側で炭素や酸素などの元素が合成されることを明らかにするなど、数々の功績を遺した天才的天文学者で、この物語もある程度、科学的根拠のある話です。

あるいは、アメリカのダイソンという物理学者が……。

福岡 ああ、フリーマン・ダイソンですね。

佐藤 現在の物理学では、質量をもった物質はやがて崩壊し、電子やニュートリノや光になるといわれますが、ダイソンは、そのように物質が消え去った後でも、新たな生命が生まれてくる可能性はあると述べています。

そして、人類自体が宇宙生命体となり、太陽系を越え、はるか銀河系にまで広がっていくだろうと。

将来的には、そのあたりまで生命への洞察を拡大できれば素晴らしい。さらにその上には、「人間原理」という概念がありますけど。

福岡「この宇宙の物理定数が、ちょうど人間の生存に適した値になっているのはなぜか」という問題ですね。

佐藤 ええ、宇宙はなぜこんなにうまく、人間が生まれるようにデザインされているのか。「デザイン」というと、ちょっと怖いですが(笑)。

福岡 佐藤さんはそれをどう説明されますか。

佐藤 私たち物理学者は、それをマルチバース(多宇宙)という概念で説明できると考えています。これは、私たちがいる宇宙の他にも、宇宙が無限に存在するという考え方ですね。

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