『silent』手掛けた敏腕P「企画書は見た目が9割」 わかりやすくできないなら企画自体を捨てよう
東洋経済オンライン / 2024年5月1日 13時30分
ドラマ『silent』『14才の母』『BOSS』『SUMMER NUDE』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『信長協奏曲』、映画『帝一の國』『約束のネバーランド』『キャラクター』など、数々のヒット作を生み出してきたプロデューサー・村瀬健氏。企画のプロともいえる彼が語るのは、「企画書は見た瞬間に面白いと思わせることが大事」という、目からうろこの内容。『silent』の企画書が掲載されていることでも話題の初著書『巻き込む力がヒットを作る "想い"で動かす仕事術』から、一部抜粋・再編集してお届けします。
企画書が果たすべき2つの使命
自分の“想い”を2つの角度で見せる。
端的に言うと、企画書は「僕はこれをやりたい」というものをまとめた文書です。そして当然のことながら、企画書は様々な人の目に触れるわけですが、「僕はこれをやりたい」という自分の“想い”を一本調子で語るのではなく、2つの角度から見せる必要があると思って書いています。
その一つ目は、脚本家、監督、出演者、といった自分の仲間になる人たち、つまり同じ船に乗ってもらう人たちに「一緒にやろうぜ、この船に乗ろうぜ」という自分の気持ちを見せるという角度。逆に言うと、仲間たちに「これなら一緒にやりたい」と思ってもらえるような見せ方です。
もう一つは、サラリーマンである僕が、上司や編成など決定権を持つ会社の人たちにアピールするという角度。「この企画、面白そうでしょ。これにベット(確信をもって信じる)しませんか?」という見せ方になります。つまり、「これ、当たりそうでしょ? 当たりますよ、絶対!」というやつです。正直なところ、本当に当たるかどうかなんて分かりません。
それが分かるなら、僕はきっと、ディズニーランドならぬ「村瀬ランド」を作れているはずです。でも、「当たるかも」と思わせることはできます。「これは絶対に当たります!」を、自分なりの根拠と共に語り、決定権を持つ人に「確かにこれは当たりそうだな」と思わせる。そのための書き方、見せ方を僕はいつも意識しています。
この2つは、外部向けと内部向けであり、情熱的な見せ方と実務的な見せ方と言うこともできるかもしれません。僕は企画書を作る時、この2つの見せ方を意識しています。
企画を象徴する写真が旗印となる
企画書の表紙には一枚の写真。
先ほど、企画書の「2つの見せ方」という話をしましたが、見せ方は2つでも目的は一つです。それは、相手に「面白い」と思わせること。「つまらなそう」と思われて企画書のページをめくる手が止まるのは、こちらとしては絶対に避けたいことです。極論ですが、企画書は相手に見せた瞬間に「面白そう」と思わせるくらいの方がいい。ということは、企画書の表紙が大事になってきます。
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