常にガラガラ「渋谷モディ」スタバだけ満員の理由 「ちょっと時間を潰す」ことが今の都心では困難に
東洋経済オンライン / 2024年5月2日 12時50分
しかし、その理由はなんなのだろうか。これには色々な要因が考えられる。「東京一極集中」という言葉があるように、そもそも都心に人が多すぎる問題。歴史を遡ってみても、特に東京は、その都市のサイズの割に、人口が多い街だとされてきた。これは、人間側の問題であろう。
一方、私がここで考えてみたいのは、「都市」側の問題である。具体的にいうと、「都市の中で、“何もしなくていい滞留空間”が減少したこと」に、「渋谷のカフェ混みすぎ問題」の理由の1つを探ってみたいのだ。
ここから詳しく説明するが、かつては街の中をぶらぶらみて回ったり、あるいはそこに居座ったりすることができたが、現代ではそうした機会が失われつつあるのではないか、という仮説だ。
とても簡単に言えば、「ちょっと時間を潰す」ことが、今の都市では難しいのではないか、ということだ。
実際、私のことを思い返してみても、待ち合わせ時間まで少し時間が空いたときに、「よし、街をぶらぶらしようか」とか、「ちょっとそこらへんの店に入ろうか」とか、「その辺りのベンチに座ろうか」という気分にならず、無意識で「カフェに行くか」ということを選んでいる。
私たちの選択肢の中から、「街で時間を潰す」ということの存在感が薄れてしまっているように思えるのだ。
では、どうしてそのような意識を私たちは持つようになってしまったのだろうか。
この問いを考えるために、少しだけ渋谷の歴史を見ていきたい(以下、記述は、吉見俊哉『都市のドラマトゥルギー』、北田暁大『広告都市・東京』、宮沢章夫『80年代サブカルチャー論講義』を参照)。
実は、渋谷の歴史の始まりは、「ぶらぶら歩ける街」として形作られてきた経緯がある。
渋谷が、現在のように活気のある街になったのは、1970年代あたりからのことだ。西武パルコグループが渋谷を一面的に開発したことから、その繁華街としての歴史が始まる。パルコに向かう坂には「スペイン坂」、他の坂にも「オルガン坂」などの外国風の名前を付け、通りには南欧風の電話ボックスを置いたりもした。いわば、街を「演出」したのだ。
パルコが行ったのは、「点」としての商業施設を作るだけでなく、それらをつなぐ「線」、そしてそのすべてを含む「面」を一帯的な開発・演出だ。これによって、歩くことが楽しい街が形作られていったわけである。こうした「街の演出」を端的に表すのが、西武パルコが掲げたキャッチコピーだ。
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