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2つの「マネー小説」に学ぶ、本当に大事なお金の話 原田ひ香×田内学「お金の本当の役割とは」対談

東洋経済オンライン / 2024年5月3日 12時0分

原田:私はお金とは「労働と労働を交換するときの単位として、今のところもっとも優れたもの」と考えています。

たとえば植木屋さんに庭木を手入れしてもらうとする。そこで私が本の原稿を持って行って、「これでお願いします」って言っても植木屋さんは困ってしまいます。でも同じ原稿を出版社に持っていけば、それを本にして売ってもらえて、出版社にも私にもお金が入る。そのお金があれば、植木屋さんに庭木の手入れもしてもらえます。

こうして、自分にはできないことをやってもらえる感謝をお金で示せるし、そのお金が入った植木屋さんもありがたいと思ってくれる。こういう循環で世の中は成り立っているという捉え方が、すごくいいなと思ったんです。

田内:お金の使い方やお金の意味について、原田さんがおっしゃったようなことを、皮膚感覚として直感的に理解している人は実は多いんじゃないかと思います。ところが、そこに僕がもともといたような金融の世界の人たちが出てくると、そういう皮膚感覚や直感が否定されて、「経済とは」「金融とは」みたいな大上段に構えた話になってしまう。

するとそちらのほうが偉そうだし、大事に聞こえてしまいそうなんだけど、違う。お金は人と人の間を移動しているだけであって、その移動によって、どう幸せになるかを考えることが、本来、大切なんだ――ということを「お金の専門家」として証明したくて、僕はこの本を書きました。小説の形を取ったのも、それが一番伝わりやすいと思ったからなんです。

原田:田内さんにぜひ伺いたことがあります。ありがたいことに『三千円の使いかた』をたくさんの人に読んでもらって、学校の先生からインタビューを受けたり、生徒さんの前でお話ししたりする機会が増えました。

お金の専門家ではないなりにお応えしてきたつもりなんですけど、ある学校のインタビューで、最後の最後に「お金って大切なの? と子どもに聞かれたら、どう答えるんですか?」と質問されたんですね。ちょっと否定的なニュアンスもあったものだから、つい「大切に決まってるじゃないですか!」と食い気味に答えてしまったんです。

もっとちゃんと考えて丁寧に答えるべきところ、そこで時間切れになってしまったのが心残りで……。田内さんも、あちこち講演などに呼ばれていると思いますけど、どんなことをお話しされていますか?

きれいごとでなく、最後は「愛」である

田内:1つ記憶に残っているのは、「お金、仲間、愛、どれが一番大事?」という話をしたことですね。

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