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2つの「マネー小説」に学ぶ、本当に大事なお金の話 原田ひ香×田内学「お金の本当の役割とは」対談

東洋経済オンライン / 2024年5月3日 12時0分

中学校と高校で同じ話をしたんですけど、どちらとも最初に、この問いを生徒たちに投げかけてみたんです。そうしたら中学生は「お金」が4割、「仲間」が4割、「愛」が2割。高校生は「お金」が5割、「仲間」が3割、「愛」が2割でした。

原田:おもしろいですね。そこからどう話を展開されたのか、気になります。

田内:基本的には『きみのお金は誰のため』に書いたことと同じなんですど……、

◆お金でいろいろなものが手に入っているように感じているかもしれないけど、本当は、そのお金の向こう側には人がいて、その人たちが頭や手を自分のために働かせてくれるから、自分は望むものを手に入れられる。

◆昔はお金というものがなくて、家族や仲間の中で助け合っていた。それだとできることに限りがあるが、お金という道具が登場してからは、知らない人にも助けてもらえるようになった。こうしてお金を介在させた助け合いができるようになったことで、人間の社会は拡大した。

◆お金というものができたおかげで、僕たちは知らない人にも助けてもらって生きられるようになった。でも元をたどれば、家族や仲間が助け合いの原点。知らない人に助けてもらうときに必要なお金はもちろん大切だけど、やっぱり、根本にある家族の愛、仲間の絆が一番大切。そこをおろそかにして、お金のことばっかり考えてはいけない。

――という社会の構造の話をしました。

だから、知らない人に助けてもらうためには「お金が大切」。原田さんのおっしゃったことはその通りなんです。

だけど、それは家族や仲間での助け合いを補うもの。お金ばかりを追い求めて、家族や仲間を失う人の話をよく聞きますが、それでは本末転倒だと僕は思います。

経済というと「お金のためのお金の話」になりがちですが、経済とは、もともと人と人との助け合いが根っこにあるもの。本当は「人のためのお金の話」をしなくちゃいけないんです。

原田:知らない人に助けてもらう、そのための道具がお金なんですね。『きみのお金は誰のため』も、お金の話なんだけど、終盤では愛の物語になっていって、なんだかすごくホッとしました。

田内:この本の主人公が住んでいる地域では、住んでいる人たちの交流や支え合いが成立しています。できるだけ商店街で買って、時には少しまけてもらったりと損得勘定だけじゃない関係性がある。

それが都会では、損得勘定ばかりの人間関係になりがちです。すると相手の立場で考えることもできなくなっていく。そのなかでも唯一、相手を思って行動することができるのは、「愛」を感じる相手がいるときです。そんな思いも込めて、最後は「愛」なんだ、という物語にしました。

後編の対談記事はこちらから(後編は婦人公論.jpに掲載)
【後編】お金の意味とは?マネー小説のベストセラー作家2人が語る「いくらお金を積んでも、やってくれる人がいなかったら叶わない」

(構成:福島結実子)

田内 学:お金の向こう研究所代表・社会的金融教育家

原田 ひ香:作家、脚本家

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