インフレ・金利上昇、マンション購入は急ぐべき? 長期では、マンション所有は3つのリスクの塊
東洋経済オンライン / 2024年5月3日 11時10分
マンション価格の高騰が続いています。また、住宅ローン金利が上がり始めています。マンション購入を考えている人にとって、いつ購入するかが悩ましいところです。今回は、マンション購入を急ぐべきか、待つべきか、というテーマについて考えてみましょう。
首都圏新築マンション平均価格は3年連続で過去最高
不動産経済研究所が4月18日に公表した調査結果によると、2023年度の首都圏1都3県の新築マンション1戸当たり平均価格は前年度比9.5%上昇の7566万円となり、3年連続で過去最高でした。東京23区は5.7%上昇の1億0464万円で、年度としては初めて1億円を超えました。
この状況を受けて、現在マンション購入を「急ぐべきだ」という意見と「慌てる必要はない」という相反する意見が出ています。まず、「急ぐべきだ」と主張する人からは、以下のような理由が挙げられています。
インフレの進行
昨年からのインフレで、不動産・株など資産価格が値上がりしています。とりわけマンションは、資材・工賃など建築コストがインフレの影響を受けやすく、今後もインフレでいっそう価格が上昇すると見込まれます。
投資ファンドからの資金流入
近年、「国際的に見て日本のマンションは割安」と判断した海外の投資ファンドからの資金が流入し、価格上昇の大きな要因になっています。日本では、投資対象となる優良物件がまだまだ不足しており、「建てれば投資ファンドが目をつむって買ってくれる」という活況が今後も続きそうです。
住宅ローン金利の上昇
日銀が3月に大規模金融緩和を修正し、いま植田和男総裁は利上げに意欲を見せています。これを受けて住宅ローン金利が上がり始めましたが、小幅な引き上げにとどまり(たとえば、住信SBIネット銀行の短期プライムレートは年1.675%から年1.775%へ)、まだ過去最低の水準。借り入れをして購入するなら、急いだほうがよさそうです。
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こうした理由から、不動産業者は「いまが購入の最後のチャンス!」と営業攻勢を強めています。一方、以下のような需要減少要因に着目し、「慌てて買う必要はない」とする意見もあります。
実需も節税需要も頭打ちか?
実需はもう限界
「1億円がデフォルト」となると、普通の会社員はもちろん、パワーカップル(夫婦の両方が年収700万円以上)でも購入困難です。わが国では、実質賃金が2月まで23カ月連続でマイナスでした(毎月勤労統計調査)。好調だった春闘を受けてプラス転換が予想されますが、プラスが定着するかどうかは不透明。実質賃金が減少したら実需は頭打ちします。
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