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「ぬいぐるみと暮らす大人たち」の少し意外な本音 「ぬいぐるみ病院」を訪れる人々が大切にするもの

東洋経済オンライン / 2024年5月4日 12時50分

堀口:当時ぬいぐるみを治療として受け入れる前例はなかったんです。洋服のお直し屋さんの中にあったり、おばあさまがおひとりでされているとことはあったのですが、ぬいぐるみだけを大切な存在として受け入れるところはなかったので、いろいろ研究して、治療方法もひとつずつ考えながら、やってきました。

――病院のサイトで写真を見せてもらいましたが、元の姿が想像もつかないような状態のぬいぐるみが、見事に生気を取り戻している様子に驚きました。みなさん思い入れがあるだけに、希望にこたえる治療を施すのは大変なことでは?

堀口:そうですね。まずはご家族の方に、イメージや思い出、どんな思いで治療をされたいかをお聞きしています。写真や描いた絵をいただいたり、口頭でイメージを言っていただいたりして、一緒に復元していく感じです。

ご家族がイメージをうまく言語化できないときは、一度こちらでお顔を作って見ていただいて調整していくんですが、ときには「このお顔です」というところに至るまで、半年ほどかかったりすることもあります。

――根気が必要な治療ですね。こやまさんは、なぜこういった、ぬいぐるみと暮らす人々のことを作品に描こうと思ったんですか?

こやま:もともとは出版社の方から「ぬいぐるみと人についての漫画を描きませんか」とお話をいただきました。それで大阪にある堀口さんの「ぬいぐるみ病院」さんにうかがって、お話をたくさん聞かせていただき、用意してもらった資料などをもとに漫画を描き始めました。

でも「取材で感じたこの思いを、どうしたら伝えられるだろう?」と考えていくうちに、「実際にぬいぐるみと暮らしていらっしゃるご家族のお話を聞いてみたい」という気持ちがどんどん強くなって。そこで、ぬいぐるみ病院さんのご協力を得て取材をさせてもらい、この作品が生まれました。

外で気を張っている人もぬいぐるみに癒やされている

――ぬいぐるみって、昔だと「子どものもの、女性が好むもの」といったイメージでしたが、『わたしのぬいぐるみさん』では大人たちが性別問わず、かけがえのない存在として接しています。それを見て「あ、自由にみんな好きでいいんだな」と感じました。男性も本当はぬいぐるみが好きな方は多いですよね?

こやま:私たちが知らないだけで、そういう方も多いんだと思います。私の友人にも、旦那さんがぬいぐるみ大好き、という人がいて。ただ、取材は恥ずかしがって受けていただけなくて、友人を介してお話を聞かせてもらいました。

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