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NHK大河と朝ドラで「知性派ヒロイン」描く"思惑" 「虎に翼」「光る君へ」の主人公には共通点がある

東洋経済オンライン / 2024年5月5日 19時0分

朝ドラ『虎に翼』の伊藤沙莉演じる寅子(左)と、大河『光る君へ』で吉高由里子演じるまひろ(画像はともにNHK公式サイトより)

この国で最も多くの人が見ていて話題にする注目度の高いテレビドラマといえば、NHKの朝ドラ(連続テレビ小説)と大河ドラマである。ドラマの世帯視聴率が下がる一方で、この2つだけはつねに高く安定している。

【写真】知性と教養のぶつかり合い! SNS上を沸かせた名シーン!

現在放送中の朝ドラ『虎に翼』と大河ドラマ『光る君へ』も好評で、そこには共通点がある。「学問」の重要性だ。『虎に翼』では法学、『光る君へ』では文学と、ジャンルは違えど、ヒロインが学問の世界に生きている。そしてそれぞれ高い知性と教養を持っていることも共通している。

いまなぜ、NHKは知性と教養あるヒロインを描くのか。そこに時代が見えてくる。

大河ドラマに「山場」がなくなった?

戦闘シーンが懐かしい。『光る君へ』の記事を書くために、同じく大河ドラマで平安時代が舞台の『平清盛』(2012年)を見返して、戦闘シーンが多いことに隔世の感を覚えた。

松山ケンイチ、豊原功補、玉木宏、小日向文世……主要人物たちがこんなにも戦っている。もちろん毎回戦っているわけではなく、たまたま見返したのが保元の乱の回だったというのはあるのだが。

いま世界でむごたらしい戦争が続いている状況で、戦闘シーンをどう描くかが問われている。前作『どうする家康』も脚本制作にあたって、ウクライナ情勢のことも含め「いま戦国ものを書く意味とは何なのか」を考えたと聞く。

だからなのか、戦をしないで済む方法を考えようとして、信長の目を欺き武田と徳川が戦をしているフリをするという、大胆過ぎる創作エピソードが生まれたほどだった。

『光る君へ』は創作するまでもなく、もともと死が穢れとされ、貴族は自分の手を血で汚すことをしなかった時代の物語のため、刀を交えることがいっさいない。貴族たちは弓の練習をしているがあくまで武道であり、人を殺すことには使用しない。権力闘争には頭脳戦が用いられ、普段の貴族たちは平和に歌舞音曲や和歌を楽しんでいる。

脚本の大石静は、「本能寺の変」「関ヶ原」「大坂の陣」というようなわかりやすい山場が今回はないことに対して、

「例えば、戦国時代だと、長篠の戦いだったら馬防柵、関ヶ原だったら家康は桃配山に陣を敷き、石田三成は伊吹山に逃げたとか、そういうビジュアル的に有名なものがありますが、今回はありません。でも、人間の足の引っ張り合いは、戦と同じくらいスリリングだと思います。本能寺の変で信長が死ぬってわかっている物語より面白いかもしれませんよ。

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