1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

「仕事がつらい」モードを切り替える正しい休み方 「闘う」でも「逃げる」でもない第3の選択肢

東洋経済オンライン / 2024年5月6日 9時0分

これらはいずれも、ポリヴェーガル理論が提唱する、背側迷走神経系の凍りつき(Freeze)の防衛反応のあらわれとしてとらえることができます。

こうした防衛は、苦痛を感じすぎずに逃れるために短期的にはきわめて有効に作用しますが、凍りつきの状態、氷のモードからいつまでも抜け出せないと、社会生活を送るのが難しくなります。

また、この防衛としての氷のモードについてはまだあまり知られておらず、いかにも「気合が足りない」ように見られがちです。不登校の生徒に共通して見られる朝の反応(低血圧、眠気、倦怠感、頭痛や頭重感など)は、背側系の反応そのものなのですが、そうした視点が言及されることは稀です。むしろ、「気合が足りない」と怒られることで、さらに脅威によるフリーズの反応を引き起こすケースが跡を絶ちません。

この観点が欠如していることで、「気力がなくなったり、やる気が起きなかったり、朝起きられなくなったりするのは、メンタルが弱いからだ」と周囲から言われ、自分でも、凍りつきの状態から回復できない自分自身を「ダメな人間だ」と責めてしまい、ますます氷のモードから抜け出せなくなる。

そんな悪循環に陥っている人も少なくありません。

しかし、これらの症状が、決して気合いや根性の問題ではなく、「背側系による防衛反応」である、という神経学的な問題としてもとらえ直せることに、ポリヴェーガル理論の利点があると考えています。

さらに、「では、何によって私のこの防衛反応が引き出されているのか」という視点も出てきます。人によっては「ああ、私は会社の人間関係を拒否したいのかもしれない」という、より本質的な問題に気づくことができるかもしれません。

また、真面目で責任感が強い人、あるいは自己評価が低く、普段、自分の役割をまっとうすること、他者の役に立つことに自分の存在する意味を見出している人ほど、思うように動けない自分を責め、悩み、苦しみを抱えがちです。

「望むような活動をしたい」「求められる役割を果たしたい」という思いはあるのに、どうしても身体が動かない。仕方なく仕事を辞めたり休んだりしているのに、一向に回復する兆しが見えず、「食事をきちんと取ったほうがいい」「身体を動かすといい」と言われても、どうしても動けない。

そんな状態が続くと、やがて、

「何も生み出しておらず、誰の役にも立てていない自分に何の価値があるのだろうか」
「こんな自分のことを、誰が信じ、必要としてくれるのだろうか」
「自分など、いなくなってしまったほうがいいのではないだろうか」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください