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「仕事がつらい」モードを切り替える正しい休み方 「闘う」でも「逃げる」でもない第3の選択肢

東洋経済オンライン / 2024年5月6日 9時0分

などと考え、思うようにならない自分に怒り、「単に甘え、サボっているだけなのではないか」と自分を責め、ますます自分を追い詰めてしまうのです。

「氷のモード」を肯定的に受け容れてみる

ここで、私が提案したいのは「背側系に入っていることの必要性を理解し、その状態を積極的に肯定していく」ということです。

氷のモードは、悪者ではありません。危機をやりすごして自らの身を守り、エネルギーを節約し、回復に向かうために必要なプロセスなのです。
そのモードにいる自分を否定して、なんとか動こうと抗っていると、いつまでも身体のニーズを満たすことができず、かえって事態を長引かせてしまうということがあります。

ですから、もしいま、みなさんが何らかの原因で氷のモードに入っていて、思うように動けない状態にあるとしても、どうか自分自身を責めないでください。

そして、「引きこもる」「シャットダウンする」という身体的な欲求が必要となったときには、むしろそれに積極的に従っていくことで、徐々に活動性を取り戻し、健全な「ゆらぎ」を取り戻すことができやすくなります。

この「背側系の反応を無視せずに、積極的に受け容れていく」という方針は、「休む」という技術の習得において核心的といってもいいほど重要な態度だと思っています。

私がいま習得している心理療法においては、「戦士の休息(ウォーリアーズ・レスト)」という名前で知られ、その重要性が強調されています。

"シャットダウン"は身体が求めているもの

いろいろなことを抱えていつも何かと闘っている、責任のある役割から降りることができない責任感の強い人ほど、「力が入らない」「思考が回らない」「動けない」という状態をネガティブにとらえてしまう傾向にあると思います。

普段どれほど活発で社交的な人であっても、いろいろなことを気にしながら他者と交流することをやりすぎて、社交力を使い果たしてしまうことが、ときにはあるでしょう。

そうしたときに「もう人と話したくない」「引きこもりたい」というモードになるのは、自然なことです。

このような状態のことを、「コミュニケーション・オーバー」と呼んでいます。そんなときは、無理して動き続けようとせず、部屋に引きこもり、頭をふさぎ、貝のように丸まってシャットダウンをすることが最適解なのです。

たとえ1日単位の休みがとれなくても、たった5分でも10分でもいいので、なるべく人が来ないところで横たわって亀のように丸くなる、体育座りをしてふさぎ込む、ということをあえて積極的にやるのです。

氷のモードに入りかけているときには、身体が求めていることに、身を委ねてあげてみてください。きっと、身体の中で何か変化を感じることができるのではないかと思います。

鈴木 裕介:内科医・心療内科医

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