江東区で記者が目撃した選挙妨害騒ぎの阿鼻叫喚 江戸情緒残る下町はそのとき地獄絵図と化した
東洋経済オンライン / 2024年5月6日 8時40分
「妨害」は、候補者の体調にも影響した。日本保守党は、飯山氏が選挙期間中に不眠や耳鳴りに悩まされるようになり、専門医から「加療が必要」と判断されたと明らかにしている。
投開票の結果、根本氏の得票数は1110票(投票数の0.6%)にとどまり、候補者9人の中では最下位だった。
その一方、根本氏は自身のXで、「この腐敗し切った政治を変えるには、やはりこの方法を継続するしかない」と投稿し、今後も同様の選挙活動を行うと表明。「今の日本人はこの状況でもまだ平和ボケしてるので票に表れていませんが、継続して目立ち続けることで必ず票につながるようになると確信しています」と発信した。
公選法の見直しに向けた議論も?
次期衆院選の前哨戦として、全国的に注目度が高かった今回の選挙では、多くの著名人が立候補し、東京都の小池知事や大阪府の吉村洋文知事といった有名政治家が何度も現地入りした。社会的知名度が低いつばさの党は、大勢の有権者が集まってくる他陣営に乗り込み、自分自身が目立つことによって、聴衆に存在をアピールすることが主目的だったのかもしれない。
ただ、実質的に有権者が候補者の演説に耳を傾ける機会を奪う手法に対する批判は大きい。
今回「選挙妨害」として問題視された行為について、選挙制度を所管する総務省の松本剛明大臣は「公選法上の選挙の自由妨害罪、刑法上の暴行罪などの処罰の対象となりうる」と指摘。岸田文雄首相も「何らかの対策が必要ではないか。選挙制度の根幹に関わる事柄として、各党・各会派で議論すべき課題だ」と述べた。
今後も同様の状況が続けば、公選法の見直しによる規制強化に向けた機運が高まる可能性は高い。
前議員の公選法違反に端を発して行われた、今回の東京15区の補欠選挙では、さらにタガが外れ、江東区は何でもありの「無法地帯」と化した。
悪名は無名に勝る――。こうした歪んだ民主主義の一側面が、一気に表出したように感じた12日間の選挙戦だった。
茶山 瞭:東洋経済 記者
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