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アップルやアマゾンでも「失敗する」共通の特徴 プロジェクト自体は最終目的ではなく達成する手段

東洋経済オンライン / 2024年5月7日 18時0分

「テクノロジーありきで、それをどうやって売るかを考えるのは本末転倒だ。私はこの間違いを、おそらくこの会場にいる誰よりも多く犯してきた。それを証明する傷跡も残っている」。今日、「逆から進める(ワーキング・バックワーズ)」はシリコンバレーのスローガンになっている。

ジョブズはかつて「情熱」で失敗した

「右から左へ考える」ことができない最も一般的な理由は、「右」の目的を見失うからだ。スティーブ・ジョブズでさえ、顧客体験から始め、そこからテクノロジーに向かって逆算していくことの大切さを力説したあとで、この過ちを犯している。

その最も悪名高い例が、アップルのパワーマックG4キューブだ。2000年に発売されたこのコンピュータは、透明ケースの中に浮かぶ立方体で、今見てもすばらしく未来的に見える。電源ボタンさえなく、手をかざせばスイッチが入る。

いかにもクール、いかにもスティーブ・ジョブズらしい。そして、まさにそこに問題があった。

G4はアップルの顧客像と、彼らに最もふさわしいプロダクトを考えて設計されたのではなかった。G4のコストと性能、美観の組み合わせを形づくったのは、スティーブ・ジョブズの情熱だった。先鋭的ではあったが、アップルの顧客には似つかわしくなかった。G4は失敗に終わり、1年後に多額の損失を計上して、生産終了となった。

だが「逆から進める」方法も、右端のボックスに何が入るのかをしっかり考えておかないと失敗する。それをしなければ、どんなプロジェクトも計画立案の詳細と困難の嵐に翻弄され、もともと漠然としか理解していなかった目的さえもが視界から消えてしまう。するとプロジェクトは思わぬ方向に逸れ始める。

アマゾンのジェフ・ベゾスは、この危険を重々承知していた。そして、同社の経営理念の柱である「お客様へのこだわり」から逸れないために、巧妙な方法を考案した。

「最後」を「最初」に持ってくる

一般に組織では、プロジェクトが首尾よく完了し、社外に発表する準備ができると、最終ステップとして、広報部が2種類の文書を作成する。1つは、新しい製品・サービスがどんなもので、なぜ顧客に役立つのかをまとめた、ごく短いプレスリリース(PR)。もう1つは、価格や機能、その他の問題をよりくわしく説明した、「よくある質問(FAQ)」である。ベゾスがアマゾンで考案した方法は、プロジェクトの「最後」に来ることが多いこのステップを、「最初」に持ってくることだ。

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