「ガチャ化する社会」でZ世代が持つべき考え方 上司、配属、ガチャの当たりはどこにある?
東洋経済オンライン / 2024年5月8日 11時0分
「ガチャ」という言葉がますます存在感を増している。親ガチャに始まり、上司ガチャ、配属ガチャ、会社にまつわるあらゆるものはガチャ化され、不満や不安の種になっている。配属ガチャに失敗したことで、離職を検討する若手社員すらいるという。
企業組織を研究する東京大学の舟津昌平氏は、Z世代をはじめとする若手社員が直面し、社会を席巻する「ガチャ」について、ガチャ概念のそもそも論から考察する。
本記事では、舟津氏の著書『Z世代化する社会』より一部抜粋・再構成のうえ、「ガチャ」概念について分析し、その問題点を浮き彫りにする。
ガチャ化していく社会
「ガチャ」という概念が浸透して久しい。お金を入れたらカプセルが出てくる「ガチャガチャ」が語源で、ソーシャルゲーム(ソシャゲ)の普及でより一般的になった。「親ガチャ」が最も浸透した派生語だろうか。なぜか「当たった」より「外れた」話しか聞かないのだけど、とにかくそこかしこで頻繁に聞くようになった。
他にも、上司ガチャ、配属ガチャ、などがよく聞かれる。大学では「ゼミガチャ」もあるらしく、筆者はキャンパス内でこう叫ぶ学生に会ったことがある。
「ゼミ、ハズレやわ!課題は楽だからまだいいけど、ゼミ生がハズレ!」
ガチャという言葉はなんだかあまり品がなくて低俗な気がすると同時に、妙に語感がよくて使いたくなるジャンクフードみたいな魔力もあって、ますます浸透している。配属ガチャ、上司ガチャという言葉も、もはや違和感なくメディアで使われるようになってきた。
そうやって広まると、必然的に「ガチャ解決ビジネス」も発達していく。配属ガチャを科学的に解明し、高度な学術理論を用いて解決しようという試みすら一部の大学では進むくらいだ。Z世代とよばれる若手社員は特にガチャに敏感で、ガチャに外れないか不安を抱えていて、ガチャのハズレは離職要因にすらなっている、という話も聞く。
安っぽくてバカらしいと言わず、ガチャ概念について真面目に考察してみよう。ガチャが成立する要件はいくつかある。まず、確率が固定されていて、介入ができないという前提。努力しても確率が変わらないのである。まあたしかに生まれる両親は選べないのだから、親ガチャと言うのもわかる。
次に、決定論的発想である。「ガチャ外れたけど楽しいよ」とか、「ガチャ当たったけど気を引き締めないと」というセリフは、あまり聞かない。ガチャに当たれば幸福で、ガチャに外れれば不幸が決定している、という前提が共有されているようだ。
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