「ガチャ化する社会」でZ世代が持つべき考え方 上司、配属、ガチャの当たりはどこにある?
東洋経済オンライン / 2024年5月8日 11時0分
この点でも、どうやら努力の意味がないらしい。努力の有無にかかわらず、当たりハズレで幸福が決定するのだから。つまりガチャとは、反努力的思想に基づく概念なのだ。
なお、「逆因果」が生じうることには注意が必要である。外れたから不幸になるのでなく、不幸な気持ちになったから外れたと感じる人がいるはずだ、ということだ。この「因果の取り違え」は学術界でもよく起きることなので、判断には慎重を要する。
何回でも引けるガチャ
さて、努力は無意味だし、ガチャで全て決められてしまう。こんなガチャを当てる方法ってあるのだろうか。単純明快かつ唯一の方法は、試行回数を稼ぐことである。確率が固定されていて介入できないにしても、何度も引けば当たるかもしれない。何回も引けるガチャなら、時間とお金が許す限り引き続ければ、いつか当たるだろう。
ただ当然ながら、親も上司も配属も何度も引けるガチャではないので、そこは困った点である。しかし、半永久的に引けるガチャがあることも紹介しておこう。ずばり「婚活ガチャ」である。
『婚活戦略』(高橋勅徳著、中央経済社)には、次のようなエピソードが出てくる。舞台はいわゆる婚活パーティー。10〜20人くらいの男女で集まって、1人5分で自己紹介。意中の人を指名してマッチング、カップルが成立すれば個別で連絡先交換、みたいなシステムだ。
実際に婚活をしていた著者の高橋先生は、悲しいことにまったくモテない。パーティーの後半はモテない同性で集まって話すという過酷な環境を強いられる。そのような苛烈な状況で、さすが研究者の高橋先生は、ある事実を発見する。女性側の指名がトップ男性に集中しているというのだ。
つまり20人も婚活男性が集まると、年収・職業・見た目など、やはり突出した人が現れる。女性はことごとく、その男性に群がる。1位に集中するのだ。しかし、考えてみると、あえて5番目くらいを選べば独り勝ちできる可能性は高いし、決して悪い戦略ではなかろう。20人中の5番目なら十分上位だ。ではなぜ、そうならないのか。
高橋先生は実際にある女性に聞いてみた。なんで1位に行くんですか?と。見目麗しいその女性は、あっけらかんと言ったという。
「一番若くてイケメンのところに行くよね。狙っているイケメン以外、話はするけど、申し訳ないけど眼中にない。今日マッチングしなくても、こういうパーティーは次があるし。だって、別に、次のパーティーで見つけたらいいじゃない」
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