ヤマハ「XSR900GP」80年代レーサー再現に歓喜 往年の名車「YZR500」オマージュした真相とは
東洋経済オンライン / 2024年5月11日 11時40分
加えて、新型では、リアフレームを新作とするなどで車体剛性をチューニング。専用開発の前後サスペンションは、調整幅を増やすとともに、サーキット走行などの高荷重にも対応する仕様となっている。
ほかにも、クラッチ操作やアクセルの操作なしでシフトチェンジを可能とする「クイックシフター」もアップとダウンの両方に対応するなど、レトロなスタイルながら最新の装備が満載だ。
なお、カラーバリエーションは、赤×白カラーの「シルキーホワイト」と、「パステルダークグレー」の2色で展開。価格(税込み)は143万円だ。
なぜ1980年代のレーシングマシンなのか
以上がXSR900GPの概要だが、なぜヤマハは、1980年代のレーシングマシンをオマージュしたモデルを出したのか。あくまで私見だが、おそらく、当時を知る筆者をはじめとする長年のバイクファンにとって、当時のYZR500が特別なマシンのひとつだからだろう。そうしたファンへアピールするために、XSR900のフルカウル版を出したことがうかがえる。
XSR900GPの元ネタ、1980年代前半から後半にかけてのYZR500は、前述のとおり、レース・ブーム全盛期といえる時代に活躍したマシンだ。しかも、キングの異名を持つケニー・ロバーツを筆頭に、エディ・ローソン、ウェイン・レイニーといった世界的スターライダーが続々と登場し、ヤマハのマシンで勝ちまくった。いずれも、WGPの最高峰500ccクラスで年間チャンピオンを数多く獲得し、日本だけでなく、世界のバイクファンが熱狂したのだ。
まさにその時代を象徴するモデルのひとつ、YZR500の雰囲気がプンプンするのがXSR900GPだ。とくに筆者のような当時を知る者にとって、惹かれる要因のひとつが、赤×白カラー仕様のカラーリング。1980年代、ヤマハWGPワークスチームには、タバコのブランド「マールボロ(Marlboro)」がスポンサーになっており、赤と白のグラフィックと、サイドカウルなどにブランドのロゴが入っていた。XSR900GPは、Marlboroのロゴこそないものの、カラーのパターンはかなり忠実に再現。そして、冒頭で紹介したように、筆者が「よくぞ、ここまで」と感心した理由のひとつが、そうしたヤマハの徹底ぶりだ。
ちなみにショーモデルでは、シングルシートカウルが装着されているが、これは市販モデルではオプション設定。なお、純正アクセサリーには、ほかにもアンダーカウルキットなども用意し、これらを装着すれば、まさにフルカウルのYZR500仕様にすることができる。
オプション装着より再現度が高まる
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