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NHKが手掛けている「国際共同制作」の最新事情 知られていない日本固有の物語を世界に届ける

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 19時0分

世界の視点を取り入れることで、より多くの視聴者に楽しんでいただける番組にしていくことが私たちの目指すところです。

国際共同制作をする必要性とは何か

国際共同制作となる番組企画は、日本の公共メディアであるからこそ知りえた物語、それゆえに、ぜひとも世界の人々と共有したいと思える物語がほとんどです。日本の科学者による新発見、芸術文化の最高峰、あるいはNHKだけが入手しえた貴重な映像などです。例えば、東日本大震災のような未曾有の災害の記録や、そこから得た知見や学びを世界と共有したいという思いがあります。防災減災の知見だけではなく、復興への物語も含めて、世界と共有することで助かる人たちがいるのではないかという思いが取り組む原動力となることもあります。

NHKだけがアクセスできたものの例としては、2013年にNHKスペシャルで放送した「世界初撮影!深海の超巨大イカ」があります。NHKエンタープライズ自然科学部の制作チームが長年取材を続けていくなかで、どうやら小笠原諸島周辺にダイオウイカが生息しているらしいという情報を入手しました。ダイオウイカは特にヨーロッパでは伝説の生き物とされていたもので、生きた姿で撮影できれば世界の人々も驚くだろうと、国際共同制作を呼びかけたケースです。その後も「深海」を舞台にした冒険は「ディープオーシャン」シリーズとして今に続いています。深海で撮影するためにNHKが開発したさまざまな撮影機材やノウハウを世界と共有していくことも、国際共同制作を進めるモチベーションの一つになっています。

日本の体験を世界へという例では、東日本大震災の直後にNHKスペシャル「メルトダウン〜福島第一原発、あのとき何が」を制作しました。世界中が関心を持っている出来事についてNHKが入手しえた最新情報を正しく世界に発信するということも国際共同制作が持つ役割の一つです。長期的な視点に立った被災地の復興を世界に伝えていくこともしています。

その時々の世界共通の関心事、あるいは時代を超えた人類共通のテーマを、国際共同制作のドキュメンタリーで数多く手がけてきました。それは地球や宇宙、人類史、恐竜、あるいは戦争などさまざまです。

そういった人類の普遍的なテーマに取り組んできた一方で、世界の人たちがまだ知らない日本固有の物語というのもあって、例えば私自身がプロデューサーとして2022年に手がけたノーナレスペシャル「わたしの小学校」は、ニューヨークと東京に拠点を置くプロダクションと共同制作しました。ドキュメンタリー監督の山崎エマさんがNHKカメラマンとタッグを組み、日本の公立小学校を1年間にわたって撮影し、児童たちがどのように成長を遂げていくかを記録した物語です。

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