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NHKが手掛けている「国際共同制作」の最新事情 知られていない日本固有の物語を世界に届ける

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 19時0分

コロナ禍で、先生たちが小学校をどう切り盛りしていたのか、そのなかで子どもたちがどのように学び、共同生活を歩んでいったのかを中心に描いています。コロナ禍の小学校では、さまざまな授業や特別活動のうち、何を残して何を中止するのか、自由と制限のバランスをどう取るのか、教育の本質を見つめ直す検討が重ねられ、結果として日本の教育の強みと課題が浮き彫りになったと感じています。先生たちと子どもたちのひたむきな姿を通して、世界の人たちが教育について話し会う機会になればとの思いから、この物語を世界に出していった経緯があります。この番組にはフランステレビジョンとフィンランド公共放送も共同制作に参加し、関心の高さを実感しています。

国際共同制作というと、大型番組のイメージがあると思いますが、今後も、日本のインディペンデントの制作者の方たちが紡ぐこうした物語を、NHKがパートナーとなって世界に届けていきたいと考えています。

国際共同制作のメリット

NHKは、もちろん日本の視聴者のために番組を作っているので、それだけでは海外の視聴者には物足りない、あるいは基礎的な知識が違うためにもう少し補足が必要だというような場合があります。そのようなとき、海外の放送局の要望を取り入れながら一緒に作っていくことができる、言ってみれば「カスタマイズできる」というところが、国際共同制作の大きなメリットだと思います。共同制作パートナーがどのような枠で放送したいのかという要素もあります。例えば深夜のドキュメンタリー枠なのか、あるいはプライムタイムの家族向け情報バラエティなのか、相手が最大の効果を生み出せるよう、アイデアを出し合いながら作っていくこともできます。

番組そのものの「カスタマイズ」だけでなく、放送前の広報や放送後の展開についても協力し合えるのが、国際共同制作の醍醐味です。完成番組の購入ですと、権利が限られているため、映像そのものに大幅な編集を加えることが難しいわけですが、共同制作であれば、例えばミニ番組を作って放送前にキャンペーンをやったり、放送とあわせてイベント展開をしたいので、そのためのクリップを作ったりといったことが可能になるんです。特に番組のPRの仕方については、私たちにとって参考になることが多いです。メディア関係者やインフルエンサーを集めたプレミア上映会を開いたり、最近では番組と連動したVRコンテンツを作るなど、ドキュメンタリーを“バズらせる”ための仕掛けや展開は、世界が先を行っていると感じます。

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