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「まぶた欠損」1歳息子をYouTube配信、両親の決断 「おもちくん」のただただ幸せな日常を流す意味

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 12時0分

異常が見つかったのは、妊娠22週で行った中期スクリーニング検査のときだった。そして24週で大学病院に転院。医師から告げられたのは、耳慣れない症状だった。

「頭部を上から見た際に頭蓋骨がレモン型に変形している」「個人差と言えないレベルに目が離れている」「鼻の骨が短い」「下顎がすごく小さい」

しかし、医師にもそうなっている原因はわからない。エコーで見る限り、見た目の異常以外は元気に育っているとのことでホッとしつつも、しほさんは症状から推定される病気をインターネットで鬼のように検索しては不安を募らせていった。

しかしそのとき、父親の孝輔さん(27歳)はこう思っていた。

「オンリーワンの子が来てくれた!」

その意味をこう話す。

「大抵の人が『自分の個性って何だろう』と迷うことが多いですよね。でもおもちくんは、もともとものすごい個性を持っているんです。それって強いな、と。生まれる前からそう思っていたけれど、YouTube配信を始めてからよりそう思うようになりました。

動画では、ただただ幸せな日常を流しているだけ。それをたくさんの方が見てくれます。幸せに生きているだけで感動を与えられる。これっておもちくんだからできること。周りの子と比べてしまえば、できないこともたくさんあるだろうけれど、将来、『俺ってアドバンテージあるやん!』って考えてくれたらいいなと思っています」

約10カ月間、お腹の中で子どもを育てる不安やプレッシャーもある中での突然の事態で、しほさんの不安は当然だろう。一方、孝輔さんはまだ見ぬ子への実感は薄かったというが、それでも、孝輔さんのその底知れぬポジティブさに、しほさんは救われた。

「僕はまだはっきりしないことは考えても仕方ないと考える性格なんですが、彼女の場合は知ることで安心するんです。夜通し病気のことを調べて落ち込んでいることはわかっていたので、それを僕の前で吐き出してもらいました。そうすれば前に進める人なので。それに、お腹の子は“親ガチャ”に成功しているから大丈夫だって思ったんです。こんなに素晴らしい女性とめちゃくちゃポジティブな僕のもとに生まれてくるんだから」(孝輔さん)

“人とは違う”。それも障がいという形の差異だとしたら、ポジティブになれる人は多くないだろう。自分のことでも不安なのに、わが子がそうだったら。どれだけ厳しい世界に置かれてしまうのか心配で、人目に触れることをためらう親もいるかもしれない。

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