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「まぶた欠損」1歳息子をYouTube配信、両親の決断 「おもちくん」のただただ幸せな日常を流す意味

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 12時0分

ところが、孝輔さんの発案で2人はYouTubeで未来くんの姿を多くの人に見てもらうことを選択した。現在アップされている動画の再生数は、数十万から多いもので300万回を超えている。

「最初はYouTubeでの発信には慎重だったんです」としほさん。

「妊娠中に異常がわかってからブログで発信していましたが、それは何度も推敲を重ねて言葉を慎重に選ぶことができるから。でも動画だと情報量が多くて、どんなふうに伝わるのかが未知数でした。考えが変わったのは、夫と何度も話し合いを重ねたことと、あとはプロレスラーの本間朋晃さんのお話を知ったことがきっかけでした」(しほさん)

独特のガサガサ声で話す新日本プロレスの本間氏は、試合中の怪我が原因で声が出しにくくなってしまったという。しかし、テレビ番組でその声を使って笑いをとったところ一躍人気者に。「あえてハンデを見せて人に愛されるようになった本間さんを見て、おもちくんにもそういう可能性があるかもしれないと思いました」としほさんは言う。

「使えるものは使ったらいいじゃん」

現に、障がいのある子の日常を発信する親は少なくない。パリコレクションの舞台に立った19歳のダウン症のモデル・菜桜さんや、背骨が湾曲する側弯症を患い、その矯正手術によって胸から下がまひしてしまった7歳のりおなさんなど、SNSやYouTubeでファンを獲得し、メディアにも多く取り上げられる人気者も出てきている。

障がいの有無を抜きにしても魅力的な彼女たちが、人々から支持される姿に勇気をもらう人も多いだろう。しかし、「親が子を売りものにしている」「本当に本人がやりたくて発信しているのか」というようにバッシングする人もいるのが現実だ。

「使えるものは使ったらいいじゃんと思うんですよね」。孝輔さんは言う。

「おもちくんには将来自立してもらいたい。YouTubeはその足掛かりになればと思って始めました。親子3人でずっと家の中に引きこもって、ひっそり生きていこうと思えばできます。でも、隠していても何のメリットもない。むしろ、家ではたくさん愛されてハッピーだったのに、将来進学したときなどにいきなり世間の厳しい目に晒されるほうがダメージは大きい。小さい頃から皆さんに見ていただいて、『人と違うからいいんだぞ』と伝えていきたいんです」(孝輔さん)

そう考えるようになったのは、作家の乙武洋匡氏の存在が大きいと話す。

「乙武さんが街を歩いていて、『うわあ』と言う人ってあまりいないですよね。『あ、あの有名な乙武さんだ!』ってなると思うんです。将来、おもちくんも可哀想な人ではなく『おもちくんだ!』と思われてほしい。有名になることで可能性が広がると思っています」(孝輔さん)

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