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アップル新型iPadは"AI対応の遅れ"への回答か アプリの新機能から「AI活用」の方向性が見えた

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 7時40分

より多くの処理を回せるiPad Proでは、M4の能力を用いて、(主なユーザーとして想定している)コンテンツクリエーター向けに新しい機能を提案している。

新型のiPad Proでデモンストレーションが行われたのは、動画編集アプリケーションの「Final Cut Pro」と、音楽制作アプリケーションの「Logic Pro」のiPad版だ。今回アップデートされた両アプリケーションには、M4のNeural Engineを活用した機能がいくつか組み込まれているのだ。

アプリの新機能にAIをフル活用

Final Cut Proでは、AIが背景と前景を分析し、ユーザーの要望に応じて特定のシーンから不要な要素を除去・調整できる。動画内の主要な被写体を自動的に検出して、視覚的なインパクトが高くなるよう自動的にフレーミングを行うAI機能も搭載し、音声から背景ノイズを低減して話者の声をクリアに際立たせる処理もほぼ自動で行える。

一方のLogic Proには、AI駆動のドラマーとベースプレーヤー、キーボードプレーヤーが組み込まれており、簡単な指示を行うだけでバックバンドが自動伴奏をつけてくれる。コード進行を明示的に指定すると、そのコードに沿って自動演奏する。

「ステム・スプリッター」と呼ばれる機能を使えば、デモ録音を、ドラム、ベース、ボーカル、その他の楽器の4つの独立したパートに分離できる。このパート別にまとめられたデータを基に、AIセッションプレーヤーで伴奏を補強し、新たなトラックを追加することで完成度の高い音楽へと仕上げることもできる。

真空管アンプ、磁気テープ録音装置、その他のアナログハードウェアが持つ風合いをトラックに追加するAIプラグインも用意され、デジタル制作の音楽にアナログ的な魂を吹き込むことも可能だ。

これらは一例でしかないが、アップルがAI技術を用いて行おうとしている開発の方向性を垣間見ることができるだろう。

2つのアプリケーションの機能は、クリエーターが望む成果物をよりシンプルな形で作り上げられるよう手助けするもの。 AIが人間の想像力を超えて新しい創造物を作るといった、傲慢な機能を提案しているのではなく、人間の創造性をより高めるためにAIを用いるというコンセプトが感じ取れる。

注目すべきは、このような機能をクラウドの力を利用することなく、すべてデバイス上で行える点にある。それを実現するためのAI処理能力のベースラインを定めたのが、今回のiPad Proであり、Apple M4という新型のプロセッサだ。

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