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アップル新型iPadは"AI対応の遅れ"への回答か アプリの新機能から「AI活用」の方向性が見えた

東洋経済オンライン / 2024年5月11日 7時40分

例えばiPhoneで文字の音声入力を行ってみると、その高い精度と認識速度の速さに驚くだろう。AI処理を活用しているからにほかならないが、この音声認識の技術は、画面が小さく、操作手法が限られているApple Watchでも生かされる。そうした環境、基盤を彼らは作り上げてきたわけだ。

今後は他社製アプリの機能向上も

前述した2つのアプリケーションが実現している機能は、過去にまったく存在していなかったものではない。しかし推論処理の能力を高めることで、わずか5.1ミリの超薄型タブレットの上で、指先だけでそれらを利用できるのは驚異的だ。

現時点において、M4のNeural Engineをフル活用しているのはアップルが作った上記のアプリケーションに限られるが、同社は数年にわたって、ソフトウェア開発者たちとNeural Engineの活用を進めてきた。

その成果はiPad用の写真編集ソフトなどに反映されている。それらのアプリケーションが提供するAI機能も、新しいiPad Proを組み合わせることで、より高速に動作することは間違いない。

冒頭で触れた通り、直近では、アップルがグーグルの生成AI技術を利用する方向で交渉しているとの報道もあった。AppleのAI技術開発の遅れを象徴する出来事のようにとらえられているが、少しばかり筆者の見立ては異なる。

例えば初期のiPhoneに内蔵されていた地図アプリは、グーグルから提供を受けていた。 世界中で日々更新される地図データを端末内に収めることは現実的ではない。アップルはユーザーとの接点として、iPhone上にアプリを提供しつつ、データのみグーグルから調達した。ウェブからもアクセスは可能だが、アプリを通すことでより高い利便性を得られるからだ。

グーグルとの提携報道が意味すること

おそらく生成AIに関しても同じだ。

端末の魅力を高める直接的な機能に関わる要素に関しては、Appleは前述したように端末内で物事が完結するよう開発を進めている。プライバシーが重要となるデータに関してはなおさらだ。

一方で生成AIは地図アプリと同様に、データ規模が大きく、更新頻度も高い。だからこそクラウド上での提供に適したサービスなのだが、こうしたクラウドを通じた機能をアップルの本業であるデバイスの価値向上に転換できるとしたならば、端末からよりシンプルに生成AIサービスに接続し、使いやすくするというアプローチのほうが合理的だ。

アップルは6月にソフトウェア開発者向けイベント「WWDC 2024」を本社キャンパス、およびオンラインで開催する。その際には、新しいNeural Engineを基準とした新たな提案が飛び出すかもしれない。グーグルとの提携が本当にあるのであれば、この時点で何らかの発表があるだろう。

本田 雅一:ITジャーナリスト

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