日本企業の株価が海外より上がらない「根本理由」 アクティビスト丸木氏、経営陣に苦言を呈する
東洋経済オンライン / 2024年5月14日 19時0分
新NISAが始まり、株価はバブル期の最高値を超え、投資への関心の裾野が広がっています。しかし、世界と比べたとき日本企業は多くの課題を抱えています。例えば、過剰な内部留保、研究開発や新規事業への消極姿勢、はたまた親方日の丸からの天下りなどのガバナンス問題などなど。
そんな内向きな経営者に向けて、「社長はおやめになったほうがいい」と直言し続けるのは、ストラテジックキャピタル代表の丸木強氏。国内アクティビスト(モノ言う株主)の代表格として、株式市場と企業経営の本質を喝破する言動が注目を集めています。
そんな同氏が自らの投資哲学を明かした初めての著書『「モノ言う株主」の株式市場原論』より、一部抜粋・編集してお届けします。
日本の経営者は株式市場を知らない?
これまで、我々は多くの上場企業経営者や幹部の方々とお会いしてきました。そのたびに、つくづく思うことがあります。
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もしかすると日本では、そもそも企業が何のために存在するのかが理解されていないのではないか、ひいては資本主義や株式市場に対する基礎知識すら浸透していないのではないか、ということです。
そこで、ここであらためて企業とは何かを考えてみたいと思います。
といっても、けっして難しい理屈を説くつもりはありません。資本主義であれば世界中のどんな経済や経営、あるいは会社法の教科書にも書いてある、ごく一般的な原理原則を確認するだけです。
最初に大原則をいえば、株式会社の目的は株主の利益の最大化です。それ以上でも以下でもありません。
ところが日本では、「公益資本主義」もしくは「ステークホルダー経営」を信奉する経営者が少なくありません。要は、株主より株主以外のステークホルダーを重要視するということです。
ちなみに、岸田文雄総理も就任当初は「新しい資本主義」と称して「ステークホルダー経営」的な考えを表明しておられましたが、各方面から批判されたのか、いつの間にか立ち消えとなったようです。
経営者の「従業員が大事」はおかしい
経営者の中には、上場企業であっても「まず従業員が大事」と公言される方が少なからずいます。ここには雇用を守るとか、株主の理不尽な要求には屈しないといった意味が込められているのでしょう。
一見するとたいへん美しく、頼もしいようにも感じますが、少し冷静に考えていただきたいと思います。
従業員であれ、顧客であれ取引先であれ、企業との間には企業が債務を履行する義務を負う契約関係が存在します。
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