日本企業の株価が海外より上がらない「根本理由」 アクティビスト丸木氏、経営陣に苦言を呈する
東洋経済オンライン / 2024年5月14日 19時0分
「いや丸木さん、株主偏重はよくないよ」
「2019年には、米国でもビジネス・ラウンドテーブル(主要大企業のトップによって構成された財界ロビー団体)でさえ、株主偏重を止めてステークホルダーを大切にしようと言い始めたじゃないか」
そのとき、私が返す言葉は決まっています。
「少なくともバブル崩壊以降、日本で株主が偏重されたことなんて一度もないですよ」
たしかに、2011年にはウォールストリートでデモが起きるなど、米国では株価の上昇の恩恵を受ける株主、巨額の株価連動報酬を受け取る経営者だけが豊かになり、経済格差が拡大したとして問題になっていました。
一方日本では、やっと株主を大事にしようとする機運が生まれつつあるとは思いますが、株主が「偏重」されるにはほど遠い状態です。
その何よりの証拠が、ここ30年にわたる株価の低迷です。
例えば米国のダウ平均株価は、1990年時点で3000ドル弱。それが今や3万ドルをはるかに上回っているので、ざっと10倍以上も伸びています。配当込みだと約30倍です。
それに対して日経平均は、ようやく1989年末のピーク(3万8915円)を超えたとはいえ、配当込みでも1.4倍程度であり、中長期で見れば米国をはじめ欧州やその他新興国の高騰ぶりに比べれば微々たるものです。
日本だけが取り残されていた
これは日経平均ではなく、各国の時価総額で比較しても、あるいはGDP成長率で比較しても同様です。成長を続ける世界経済の中で、2023年までは日本だけが取り残されたわけです。
もちろん、バブル崩壊の後遺症、金融・財政政策や円高など経済環境の影響もあったでしょうが、上場企業の経営者による株主偏重どころか株主軽視も大きな要因だったと思います。
もし株主がもう少し重視されていれば、日本企業はもっと利益を上げ、資本効率も良く、株価指標のみならず、日本経済も成長していたはずです。
株主以外のステークホルダーを満足させるだけでいいなら、とりあえず会社を潰さなければ十分です。現状維持の経営で、わずかでも黒字を計上できれば、給料や代金の支払いが滞ることはありません。これなら経営者も楽なはずです。
実際、「うちはずっと黒字だからいい会社なんです。存続させることが第一です。何がいけないんですか」と堂々とおっしゃる経営者の方もいました。
こういう意識だから、株主に報いようとも思わない。未来に向けた投資や研究開発にも消極的か、投資していてもその投資リターンをよく考えていない。代わりに現金や有価証券や不動産を貯め込もうとする。
この記事に関連するニュース
-
ダイドーリミテッドが株主還元策、50億円の自社株買い 配当も大幅引き上げ
ロイター / 2024年7月5日 7時23分
-
日本が「大回復時代」に入ったのは明らか…経済の専門家が〈国内株高の加速〉を予測する“これだけの根拠”
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月2日 10時15分
-
国内株式投信は「高配当」「金融」で確実なリターン狙う動き 円建て資産の魅力再認識か
Finasee / 2024年6月28日 16時0分
-
“お騒がせ”イメージはもう古い…!? 「物言う株主」アクティビストとは何者で、何のために“物言う”のか
Finasee / 2024年6月25日 18時30分
-
だから日本経済は停滞を続けている…「闇雲に上場を目指しその後成長しない企業が多すぎる」大問題
プレジデントオンライン / 2024年6月7日 9時15分
ランキング
-
1日本に豊田章男氏がいたのは幸運だった…「EV化の真実」を主張し続けた豊田氏が筆者に明かした「真意」
プレジデントオンライン / 2024年7月5日 8時15分
-
2妻に先立たれた65歳、年金約17万円・おひとり様シニアを襲う<老後破産へのカウントダウン>
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 9時0分
-
3今度はなんのコラボ? マクドナルドのX、次回の「ハッピーセット」のヒント画像公開...期待高まる
J-CASTニュース / 2024年7月4日 16時49分
-
4勢いづく出社回帰 テレワークは消えゆく運命なのか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 6時35分
-
5ソニーが録画用ブルーレイディスク生産終了へ、光ディスクの記録メディアから完全撤退「市場が縮小」
読売新聞 / 2024年7月5日 18時12分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)