1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

地味な路線だった「JR奈良線」、利用者の急増なぜ 沿線自治体も費用負担して複線化など輸送改善

東洋経済オンライン / 2024年5月14日 6時30分

JR奈良線のもう1つの特徴が観光客輸送である。伏見稲荷大社の目の前にある稲荷駅の存在が大きい。

伏見稲荷は初詣参拝客ランキングで全国トップ3に入る神社であるが、この10数年、京都の新しい観光スポットとして注目されている。境内にずらりと連なる朱色の「千本鳥居」の魅力が口コミで広がったのだ。2014年に「トリップアドバイザー」で国内人気観光地ランキング1位となったことで、2018年の外国人観光客数は409万人と2013年比7.9倍に、日本人観光客も同671万人、同1.8倍と急増。稲荷駅の乗車客数も1.6倍に増えた。

2024年2月、JR奈良線で稲荷駅を訪れてみると、15分ごとに京都駅からの普通が到着するたびに100人ほどの観光客が下車していく。閑散期の平日にもかかわらず、国内外、多国籍な観光客で賑わっていた。

東福寺駅は、臨済宗の古刹、東福寺の最寄り駅で、秋の紅葉シーズンは特に混みあう。また、JR奈良線と京阪本線との乗換駅でもあり、2011年には両ホームを直結する乗換改札口が設置された。JR西日本と京阪、京都市が提携し、京都駅と東山方面を結ぶ市バス混雑の緩和策としての取り組みで、祇園や清水寺へ行くには便利な裏ルートとなっている。

宇治駅の観光需要も順調である。京都駅から16分というアクセスの良さが要因だ。世界遺産に登録されている平等院と宇治上神社。本年なら紫式部ゆかりのまちとしてNHK大河ドラマ「光る君へ」の効果が期待されている。

奈良への観光輸送はどうか。奈良市はJR奈良駅を利用する来訪観光客数は近鉄奈良駅利用の4割弱と推計している。JR駅は中心市街地や観光地から離れていることもあり、地元客も用務客も近鉄奈良駅と近鉄京都線を選ぶ。ただ、外国人観光客はフリー切符「ジャパン・レール・パス」を使っていることもあり、京都駅からJR奈良線を利用する流動が目立つ。

朝ラッシュ時の普通列車は平均6分も時間短縮

このようにJR奈良線では、設備投資が利用の増加をもたらし、新たな街づくりへとつながる好循環がおきている。

京都市エリアは人口の社会減が顕著になっているが、JR奈良線の駅周辺は今でもマンションやアパートの建設が進み、物件への問い合わせも多いという。特に伏見区と宇治市の境に位置する六地蔵駅は京都市営地下鉄東西線との乗換駅ということもあり、大規模商業施設やマンションが次々と完成する注目エリアとなった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください