地味な路線だった「JR奈良線」、利用者の急増なぜ 沿線自治体も費用負担して複線化など輸送改善
東洋経済オンライン / 2024年5月14日 6時30分
京都府南部の木津川西岸では関西文化学術研究都市の整備と大規模開発が展開されてきたが、JR奈良線の走る木津川東岸エリアの開発は停滞。井手町と木津川市北部(旧山城町)にあるJR4駅の乗車客数は30年前より3割減となった。城陽市は1995年、宇治市も2010年から人口減に転じている。
今回の複線化にあわせ、5駅で駅舎の改築、橋上化、そして駅前広場の整備が行われた。井手町は山城多賀駅の西口駅前広場に5.8ヘクタールの開発地を用意して商業施設を誘致。今夏、スーパーがオープンする。各市町とも厳しい財政状況にあるが、交流人口を増やそうと駅施設を改善した。まちづくりへの期待が大きい。
新名神大津―城陽間の開通に注目
もう1つ、地元期待の事業が、新名神高速道路大津IC―城陽IC間の建設だ。城陽市の東部丘陵地帯では次世代基幹物流施設の工事が次々と着手された。新名神でのダブル連結トラック、そして隊列走行、自動運転などを想定している。
商業施設については、JR長池駅の1.5km東側で、三菱地所系の関西最大級のアウトレットモールが整備されている。駅との間に利用者や従業員用のシャトルバスの運行が予定されており、開業の暁にはJR奈良線の利用状況も変わるだろう。
ただ、新名神延伸区間の開通は当初2024年春開通予定だったのが、2024年度末に延期され、さらに今年1月、「開通時期未定」と発表された。各プロジェクトとも見直しを迫られている。
今後のJR奈良線について、城陽―木津間の複線化第3期工事を求める声があるが、具体的な検討までには至っていない。人口が少ない地域である上に、老朽化する木津川橋梁の架け替え、6カ所ある天井川トンネルと河川改修問題もあり、費用対効果に課題がある。
府交通政策課の笹井課長は「実は、2期にわたる複線・高速化工事で、国費は1円も使われていません」と指摘する。国には幹線鉄道等活性化事業費補助などのプログラムはあるが、自治体出資の法人に限定され、JR奈良線には使えなかった。
この半世紀、適切な設備投資が行われず能力を発揮できていないJR線は全国にある。国としても、やる気のある自治体やJRへ直接補助ができる制度の創設を考えていくことも必要ではなかろうか。
森口 誠之:鉄道ライター
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
JR関西線の亀山-加茂間などで一時運転見合わせ 大雨の影響で
京都新聞 / 2024年6月18日 7時44分
-
関西線の亀山ー加茂で18日始発から運転取りやめ 大雨のため、加古川線の一部も
京都新聞 / 2024年6月17日 19時27分
-
JR奈良線で12本運休、最大70分の遅れ 信号と踏切設備の確認
京都新聞 / 2024年6月10日 8時41分
-
なぜ地味なのか「JR難波」 かつての一大ターミナル今後は大化け? 実は30年前からあった“構想”
乗りものニュース / 2024年6月8日 7時12分
-
湖西線、関西と北陸結ぶ「大動脈」開通50年の転機 京都鉄道博物館は記念の「レア企画」で盛り上げ
東洋経済オンライン / 2024年6月6日 6時30分
ランキング
-
1日本に豊田章男氏がいたのは幸運だった…「EV化の真実」を主張し続けた豊田氏が筆者に明かした「真意」
プレジデントオンライン / 2024年7月5日 8時15分
-
2妻に先立たれた65歳、年金約17万円・おひとり様シニアを襲う<老後破産へのカウントダウン>
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年7月3日 9時0分
-
3今度はなんのコラボ? マクドナルドのX、次回の「ハッピーセット」のヒント画像公開...期待高まる
J-CASTニュース / 2024年7月4日 16時49分
-
4勢いづく出社回帰 テレワークは消えゆく運命なのか?
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年7月5日 6時35分
-
5ソニーが録画用ブルーレイディスク生産終了へ、光ディスクの記録メディアから完全撤退「市場が縮小」
読売新聞 / 2024年7月5日 18時12分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)