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再開発の公園に「おしゃれカフェ」がある深い経緯 南池袋公園、MIYASHITA PARKはなぜ活気があるのか

東洋経済オンライン / 2024年5月14日 11時20分

つまり、公園としてあるべき「公共的」な姿を作るというよりも、ただ、広いスペースが「あるだけ」の状態になっていた。そのため、「公園」といっても、ダラダラする場所としての候補には上がりづらく、そもそも暇つぶしに公園に行く、という手段自体が、そこまで大きな選択肢として認識されてこなかった。とくに昨今の、「危ない」という理由で遊具が撤去されがちな公園では(せいぜい、昼間、行き場所がないサラリーマンが、ハトにエサを与えるときのイメージとして思い浮かぶぐらい?)。

しかし、カフェが誕生することで、公園という空間が逆に「せんだら」としての機能を持ち、その空間が利活用できるようになったのである。

公園カフェがもたらした負の側面は?

このように、P-PFIはそれまであまり活用されてこなかった公園に活気を取り戻す起爆剤になった。

一方でこの制度は、「居場所作り」として捉えたときに、プラスの側面だけを持っているわけではないことも指摘しておこう。それは、南池袋公園しかり、MIYASHITA PARKしかり、ホームレスの排除問題と密接な関係を持っているということだ。

南池袋公園にしても、MIYASHITA PARKの前身である宮下公園にしても、そこにはホームレスの人々が多くいた。2002年に施行された「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(ホームレス自立支援法)」には、公園を適正に利用できるように行政が働きかける条項が含まれており、そのあたりから、都内の公園で、行政とホームレスが接触する機会が増えてきた。

そうした流れの中で、徐々にこうした公園が再開発されていき、MIYASHITA PARKの開業当初は、ホームレスの強制排除が大きな話題にもなった。

難しいのは、そのようにホームレスたちの居場所をなくしたあと、そこが逆に若者や若いファミリー層にとっての新しい居場所になったことだ。

カフェはこうした若い層を取り込むことに成功しているが、一方でそれ以外の人たちの居場所をなくした側面もある。つぐつぐ、「居場所」の問題を考えるのは難しい。

カフェ×公園はこの先どうなる?

こうしたホームレスの強制排除問題と共に語られるのが、「公園」という、本来はお金が入ってきてはいけない領域に民間企業が入り込むことに対する批判だ。

もちろん、そうした問題は決して忘れてはいけない視点であるが、特にカフェ事業については、これまでみてきた通り、一定程度、民間資本が入り込むことで、逆に「公園」というパブリックな空間を作り出している側面もある。逆説的だけれど、でも、実際にそうなのだ。

それは、おそらく、そもそも「カフェ」というもの自体が、ある種のパブリックな空間、つまり、私の言葉でいえば、比較的低コストでだらだらいることが許されている空間であることが関係していると思う。

たぶん、お金を使う空間の中では、公共性が比較的高いのがカフェなのだろう。だからこそ、「公園」というさまざまな人の存在を許容する空間のポテンシャルを引き出しているのだといえる。

このように見ていくと、公的セクターに民間資本が入り込む場合の一つの最適解が、このカフェ×公園というコラボ事例なのかもしれない、とも思う。その意味でも、現代におけるカフェの意味はますます重要になってきているといえるのだ。

谷頭 和希:チェーンストア研究家・ライター

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