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サイゼが「ミラノ風ドリア」値上げしない深い理由 「ラクして儲けたい誘惑と戦い続ける」意義

東洋経済オンライン / 2024年5月17日 15時0分

創業者の正垣泰彦氏が実践してきた起床直後の「1人反省会」。その反省会がもたらしてくれるものとは?(写真:Rosette/PIXTA)

消費者に「安くておいしいものだけ」を提供するサイゼリヤ。しかし、「ラクして儲けたい」という誘惑もある。そんな時、創業者の正垣泰彦氏は、自分自身を「怠け者で、自分勝手で愚かな人間だ」とし、日々反省を繰り返し行っていた。その結果、自分の中にある弱い心をはねのけ、強い心で理想に向かって進むことができると語る――。

※本稿は、正垣泰彦『サイゼリヤの法則 なぜ「自分中心」をやめると、ビジネスも人生もうまくいくのか?』の一部を再編集したものです。

私、正垣泰彦は怠け者で自分勝手、愚かな人間だ

「私ほど怠け者で、自分勝手で愚かな人間はいない」

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「だから少しでも、まともな人間になりたい」

これは、偽らざる私の本音です。

私たちサイゼリヤは、お客様に「安くておいしいもの」だけを提供しようと決めています。値上げはせず、むしろ値下げをする。そして、値段よりもずっとおいしい、お値打ち商品を提供する。その方針のもと、60年以上も努力し続けてきました。

しかし一方で、「ラクして儲けたい」という誘惑があるのも事実です。

たとえば、サイゼリヤの人気商品であるミラノ風ドリアを、300円から350円に値上げすると、どうなるか? 値上げするのですから当然、ミラノ風ドリアの出数は確実に減ります。

でも粗利は、大幅に増えるでしょう。企業として儲けることだけを考えたら、値上げしたほうがいいに決まっています。でも私たちはそれをしません。

なぜなら、お客様のため、人のためにならないからです。

サイゼリヤがフランチャイズ出店をしていない理由が、そこにあります。

フランチャイズとは、加盟金やロイヤリティを払ってもらうことを条件に、外部の人にサイゼリヤを出店・経営してもらうことです。

仮にサイゼリヤの理念に共感して、お店を始めてくれたとしても、サイゼリヤが薄利な商売をしていることに変わりはありません。

「値上げして、もっと俺たちを儲けさせろ」と言われても、期待に添うことができません。加盟店の人に喜んでもらえるシステムを提供できないわけですから、サイゼリヤは今のところ直営店のみです。

自己中心的な「肉体」と理想に向かう「精神」

私や皆さんの中では、「肉体」と「精神」が常に戦っています。

「肉体」は感覚→感情→欲望に支配されているため、「不快」なことを本能的に嫌い、できるだけ自分自身を快適にしようとします。一方、「精神」には限界がないため、理想を果てしなく追うことができます。

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