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LINEヤフーへの行政指導が悪手である3つの理由 再発防止に資本関係の見直しが必要なのか

東洋経済オンライン / 2024年5月17日 17時0分

2024年5月13日に竹島(韓国名「独島」)に上陸した「祖国革新党」を率いる曺国(チョ・グク)元法相は、LINEヤフー問題に触れて「事態を主導する日本総務相の先祖が伊藤博文で、朝鮮侵奪の先頭に立っていた。LINEの経営権が日本企業に移れば、それは『デジタル甲辰国恥』と呼ばれるであろう。尹政権は親日政権を越えて、従日、崇日政権だ」と吠えた(甲辰は今年の干支)。

前出の大邱大学の金良姫教授は「問題を反日感情に結びつければ日本の右派の反感を高めて事態を複雑にし、ネイバーの助けになるどころかむしろ被害をもたらす」と釘を刺している。ただ、尹政権が「韓国企業の利益は守る」という姿勢を揺るがしてはならないとも指摘する。

奥田教授も「相手国からどう見られるかを考える必要がある。どうしても資本関係に踏み込む必要があったのなら、日本政府は韓国政府やLINEと水面下で意見交換をすることも可能だったはずだが、そうした形跡はない。こうなると、日本の『塩対応』にがまんしてきた尹政権の堪忍袋の緒が切れるかもしれない」という。

日本の塩対応と大局観の欠如

「塩対応」とは実に的確な表現だと思う。日韓関係の劇的な改善は、尹錫悦大統領が韓国世論の反対を押し切って徴用工訴訟で日本に大きく歩み寄る解決策を打ち出したおかげだ。そうした尹大統領への「援護射撃」を岸田政権は行い、逆戻りするのを防ぐことは日本の国益であるのに、ほとんど何もしてこなかった。

そこに今回のLINEヤフーに対する行政指導。日韓にかかり始めた新たな暗雲を作り出したのは日本側だ。

ネイバーは、現時点ではLINEヤフーの株式は売却しない方向であると伝えられている。5月下旬には日中韓首脳会談がソウルで開催される見通しだ。岸田政権はその機会を活かし、日韓関係の安定という大局観からこの問題の軟着陸をはかってもらいたい。

池畑 修平:ジャーナリスト、一般財団法人アジア・ユーラシア総合研究所理事

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